敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「こちらのデザインなどはいかがでしょうか?」

「えっと……」

 目が眩みそうなライトに照らされたショーケースには、キラキラと輝く指輪が所狭しと並んでいる。

 遊園地をあとにし、隼人さんに連れてこられたのは、私でも名前を知っている有名ジュエリーブランドのお店だ。

「婚約指輪がシンプルなデザインなのでどれも重ね付けしやすいと思いますよ」

 さっきからいろいろと説明してくれるが、アクセサリーにはあまり興味がないのでどうもピンとこない。

 両家への挨拶の前に隼人さんから用意されていた婚約指輪を渡されたが、結婚指輪は挨拶を終えてからを買いに行こうという話になっていた。

 そういった順番にこだわるのは真面目な隼人さんらしい。伯母はとくに気にしていなかったし、美奈子さんには挨拶の段階で結婚指輪について指摘された。

『婚約指輪は俺が勝手に用意したから、結婚指輪は未希の好みを優先したいんだ』

 きっぱりと答えた隼人さんに、私はつい照れてしまい、美奈子さんは満足そうに微笑んだ。

 とはいえ、とくにブランドやメーカーにこだわりのない私の意思を尊重されても逆に困ってしまう。

 ここを選んだのは、好きな映画のヒロインが劇中ではこのブランドの指輪をいつもしていて、少しだけ憧れていたからだ。

 入籍したとはいえ、そこまで急いで結婚指輪を用意しなくてはいけないとは思っていなかったので、のんびりかまえていたが、隼人さんは気にしていたのかな?
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