敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「昔は両親共に厳しくて今以上に口うるさかったんだ。シャッツィの跡取りとして、勉強はもちろん、付き合う人間や習い事、食べるものにまで口を出されてきた」
私には想像もつかない世界だ。生まれたときから後継ぎとして未来を決められた、社長令息という立場は、一見なにもかも手に入りそうな環境で羨ましいとさえ思う人もいるだろう。
けれどその分、他の人がしないような苦労もたくさんしているんだ。
「早く独立してひとりになりたかった。親や周りに口出しされないように会社の経営も結果を出そうと必死でやってきたんだ」
『あえて誰かと人生を共にする気になれない』
わざわざ雇用関係を結んでまで結婚するなんて……と思ったが、彼の結婚するつもりがないという意思は、思った以上に根深く強固なものらしい。
そのとき伯母の自宅の前に車が停まった。シートベルトを外し彼が扉を開ける前に宣言する。
「隼人さんの気持ちはわかりました。結婚するとはいえ、私は雇われた身なので必要以上に干渉しませんから。極力黒子に徹します。だから安心してご自分のペースで過ごしてくださいね」
自分の胸をトンッと叩く。すると彼はなぜが目を丸くし、ふっと笑みをこぼした。
「とてもじゃないが、今から結婚の挨拶をしに行く新妻の台詞とは思えないな」
隼人さんが望んだ状況とはいえ、改めて指摘されるとなんだか妙なおかしさが込み上げてきた。
「本当ですね」
つられて私も笑顔になる。一緒に食事をしてわずかに距離が縮んだからか、ふたりで笑い合い、今初めて一番夫婦らしい瞬間だと思えた。
私には想像もつかない世界だ。生まれたときから後継ぎとして未来を決められた、社長令息という立場は、一見なにもかも手に入りそうな環境で羨ましいとさえ思う人もいるだろう。
けれどその分、他の人がしないような苦労もたくさんしているんだ。
「早く独立してひとりになりたかった。親や周りに口出しされないように会社の経営も結果を出そうと必死でやってきたんだ」
『あえて誰かと人生を共にする気になれない』
わざわざ雇用関係を結んでまで結婚するなんて……と思ったが、彼の結婚するつもりがないという意思は、思った以上に根深く強固なものらしい。
そのとき伯母の自宅の前に車が停まった。シートベルトを外し彼が扉を開ける前に宣言する。
「隼人さんの気持ちはわかりました。結婚するとはいえ、私は雇われた身なので必要以上に干渉しませんから。極力黒子に徹します。だから安心してご自分のペースで過ごしてくださいね」
自分の胸をトンッと叩く。すると彼はなぜが目を丸くし、ふっと笑みをこぼした。
「とてもじゃないが、今から結婚の挨拶をしに行く新妻の台詞とは思えないな」
隼人さんが望んだ状況とはいえ、改めて指摘されるとなんだか妙なおかしさが込み上げてきた。
「本当ですね」
つられて私も笑顔になる。一緒に食事をしてわずかに距離が縮んだからか、ふたりで笑い合い、今初めて一番夫婦らしい瞬間だと思えた。