敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
自分とは住む世界がまったく違う。慣れていない。形だけとはいえ彼の妻が務まるだろうか。
不安を抱きながら歩を進めていると、部屋の前にある人物が立っていた。
「おかあ、さん」
思わず立ち止まり、声を漏らす。向こうもこちらに気づき、目を向けてきた。
「未希? ちょっと紅実からも聞いたわよ。結婚するって本当?」
肩下まで伸びる豊かな髪はゆるくウェーブがかかっていてきっちり染められている。黒のジャケットにテーパードパンツを組み合わせた、いつもの仕事スタイルだ。
メイクもアクセサリーもばっちりで、五十近い年齢だが、若々しくも貫禄はしっかりある。やや冷たそうな印象を抱かせる目元は私とは雰囲気が異なるが、それでも昔から母に似ていると言われ続けてきた。
呆然とする私に対し、隼人さんが隣に並んで母に頭を下げた。
「初めまして、進藤と申します。このたびは未希さんとの結婚を」
「存じ上げていますよ。シャッツィの若き優秀な社長として有名な進藤隼人さん」
隼人さんの言葉を遮り、パンプスのヒールをカツカツと鳴らしながらこちらに近づいてくる。
「話を聞いたときは驚きました。私はMitoに勤めているんですが、社長令嬢の直子さんのお相手として進藤さんを認識していたので」
母の発言にドキリとする。やはりMitoでも隼人さんと直子さんの関係は囁かれていたのだろう。とはいえ、ここで本人に直接その話題を振るのはどうなのか。仮にも娘の相手として連れて来たのに……。
不安を抱きながら歩を進めていると、部屋の前にある人物が立っていた。
「おかあ、さん」
思わず立ち止まり、声を漏らす。向こうもこちらに気づき、目を向けてきた。
「未希? ちょっと紅実からも聞いたわよ。結婚するって本当?」
肩下まで伸びる豊かな髪はゆるくウェーブがかかっていてきっちり染められている。黒のジャケットにテーパードパンツを組み合わせた、いつもの仕事スタイルだ。
メイクもアクセサリーもばっちりで、五十近い年齢だが、若々しくも貫禄はしっかりある。やや冷たそうな印象を抱かせる目元は私とは雰囲気が異なるが、それでも昔から母に似ていると言われ続けてきた。
呆然とする私に対し、隼人さんが隣に並んで母に頭を下げた。
「初めまして、進藤と申します。このたびは未希さんとの結婚を」
「存じ上げていますよ。シャッツィの若き優秀な社長として有名な進藤隼人さん」
隼人さんの言葉を遮り、パンプスのヒールをカツカツと鳴らしながらこちらに近づいてくる。
「話を聞いたときは驚きました。私はMitoに勤めているんですが、社長令嬢の直子さんのお相手として進藤さんを認識していたので」
母の発言にドキリとする。やはりMitoでも隼人さんと直子さんの関係は囁かれていたのだろう。とはいえ、ここで本人に直接その話題を振るのはどうなのか。仮にも娘の相手として連れて来たのに……。