敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 隼人さんが不快になっていないかとハラハラするがなにも言えない。

「親同士が結婚を勧めてきたので、彼女とは何度か会いましたが、それだけです。不安に思われているかもしれませんが、未希さんと出会って、自分から結婚したいと初めて思えたんです」

 隼人さんのフォローに胸が熱くなる。しかし母は小馬鹿にしたように笑った。

「不安、だなんて。逆ですよ、直子さんではなく本当にこの子でいいんですか?」

 母の切り返しに、隼人さんは驚いた顔になる。

「この子が結婚ねぇ……。向いていないと思うんです。私もそうでしたから」

 そう言ったあと母の視線は私に移った。

「未希も私を見てきたならわかるでしょ? 子どもを作って離婚ってなったら大変なんだから慎重になりなさいね。別れたあとは足枷にしかならないんだから」

「お母さん!」

 たしなめるように母を呼ぶ。さすがに失礼だ。私に対してはともかく、結婚の挨拶をしに来た相手の前で離婚した場合の話をするなんて。

 しかし母はまったく悪びれる様子がない。

「なに? 本当のことでしょ。未希みたいに契約社員とか適当な立場ならわからないかもしれないけれど」

 見下したような笑みに、唇を噛みしめる。これ以上の問答は無用だ。母は変わらない。すると突然、支えるように肩に腕を回され、隼人さんに抱き寄せられた。
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