相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
その頃の嶺音。

ランチの時間で、交代で昼休みを取る。
財布とスマホを持って、外に出ようとする。

「中岡さーん!」
まだ結婚して一ヶ月程なので、旧姓で呼ばれることが多い。

「はい」

「ランチ、一緒しよ?」
同僚の杉野(すぎの)が、他二人の同僚と一緒に声をかけてきた。

「あ、はい」

「LOVE vacationって、カフェ知ってる?」

「え……」
(奏弟の勤めてるとこだ。
知ってるどころか、知りすぎてる。
オーナーも、従業員達も知ってるし)

「執事喫茶なんだけど、行ってみよって話してて。
中岡さんも行ってみない?」
「私達も初めてなんだけど、ずっと気になってて」

「あ、いや、私は…遠慮します……」

「えー、どうして?」
「そんなに堅苦しく考えなくていいよ!」

「ほ、ほんとに…私は……」

奏弟が、自分以外の女性に甘い顔をしてるところなんて見たくもない。
嶺音は丁重に断り、一人で近くのコンビニで弁当を買い食べた。

しかし杉野達は、そんな時間がかかるとこなく戻ってきた。
手に、コンビニ袋をぶら下げている。
「え?どうしたんですか?」

「ランチ客でいっぱいで……
行けなかったの」

「あ、そうなんですね…」
内心、ホッとする。

「だから、仕事終わったら行くことにした!」

「………」
(!!行くんかい!
諦めてないんだ………)
心の中で突っ込みながら、嶺音は杉野達が奏弟の接客を受けないようにひそかに祈っていた。


仕事が終わり、役所を出る。
「━━━━ほんと、行かない?」
「行ってみようよぉー」
嶺音は杉野達に、再度誘われていた。

「いや、私はほんとに……
旦那さんが帰ってくるし」

「あ、そうだよね!」
「新婚さんだもんね!」

「あ、はい。
ごめんなさい……!」

「ううん!
新婚さんを誘うなんて、ちょっと失礼だったかも?(笑)」

「いえ!
じゃあ、私はここで!
お疲れ様でした!」
「「お疲れ様~!」」

嶺音は、同僚二人の後ろ姿を見つめる。

(き、気になる……)

誰が接客するのかだけ、見に行ってみようか。

「………」
(あ、いや、でも外から中の様子は見れないし…)

考えを払拭するように頭を横に振り、嶺音は帰路に着いた。
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