元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
「千鶴は……やっと初期研修医が終わったところだ。そのうち話は進むだろうが、まずは専門医を取るのが先だと言ってな……」
「そのうち進むって……え? 相手いるの?」
「ああ、医局の同僚と付き合っているよ。何度か家に来たこともある。なかなかの好青年だ」
「……そうなんだ」

 なんだ、千鶴、相手がいるのか。
 4年離れていたんだもんな……。千鶴と最後にあったのは俺がロスに行って一年目の夏だった。
 あの時はまだ学生だったよな。そう考えると、月日が経ったのを感じるな。

「……初期研修医が終わっているならいつ結婚してもおかしくない。どう考えても千鶴の方が俺より先だろうな。父さん、すぐに孫にも恵まれるよ」
「そりゃ千鶴の子はもちろん可愛いだろう。でも父さんは内孫も欲しいんだけどな。森勢の名を継いでくれる孫がな」

 そうは言っても、簡単に結婚なんてできない。
 少なくとも杏子の現在を確認するまでは、俺は前に進めないのだから――。

 
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