妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「あなたは元々、この世界に留まってはいけない存在だった。それだけのことじゃない」
『私は、まだ死にたくない!』
「もうあなたは死んでいるんですよ?」
『うっ……』

 私は、エルネリスに対して魔法をかけた。
 それは、悪霊を成仏させる魔法だ。これは本来、霊的存在の魔物に使うものである。
 彼女がいい幽霊であったならば、もしかしたらこれも効かなかったかもしれない。だが、そういう訳ではないようだ。

『ぎゃああああああああ!』

 エルネリスは叫び声を上げながら消えていった。
 長く現世に留まり、多くの人々を苦しめる悪霊となった彼女は消滅したのである。

「……終わったようだな」
「ええ、終わりました」
「呆気ない結末であるように思えるが……」
「そういうものなんだと思います」

 エルネリスが消滅した後、アグナヴァン様は私にゆっくりと近づいてきた。
 彼の言う通り、長年の因縁の相手であったエルネリスの最後は呆気ないものだった。
 だが、これでいいのだ。彼女のことを長らく引っ張るものではない。
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