妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「……この本はどうする?」
「……燃やしてしまいましょう。この本を残しておく意味もないでしょうし」
「そうだな。残していたら、また悪用されかねない」

 彼女が宿っていた本は、残しておくべきではないだろう。
 ここには、闇の魔法が記されている。それをまた誰かが利用することがないように、燃やし尽くしておくべきだ。

「闇の魔法を生み出す魔法以外に、貴重な魔法が残されていたりはしないのだろうか?」
「まあ、もしかしたら何かが記されているかもしれませんが、それは仕方なかったということにしましょう」
「思い切った判断をするのだな……」
「まあ、それは安全のためですから」

 アグナヴァン様は、この本の歴史的な価値が気になっているらしい。
 エルネリスの口振りから、この本はかなり昔のものだと予想できる。そこには貴重な魔法や情報が残されている可能性がない訳ではない。
 しかし、私は別に歴史家ではないし、過去の魔法に強い興味がある訳でもなかった。ここで私に見つかったのが運の尽きだと思って、歴史家達には諦めてもらうしかない。
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