妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 闇の魔法、私はそれをまったく知らなかった。
 魔法には、様々な種類がある。私も、その全貌を知っている訳ではない。
 だが、聖女をやっていたのに聞いたこともないというのは恥ずべきことだろう。せめて、概要くらいは知っておきたかったものである。

「恥じる必要はありませんよ。闇の魔法は、どちらの王国でも禁忌とされているものです。私も、それに関わるとある事件に遭遇していなければ、知ることはなかったでしょう」
「そんなに特殊なものなのですか?」
「ええ、そうなのです。まずは、それについてお話ししましょうか」

 エルムルナ様は、とても険しい顔をしていた。
 闇の魔法とは、それ程に恐ろしいものであるらしい。これは、心して聞く必要があるだろう。

「先程言った通り、闇の魔法は禁忌とされているものです。とても危険な魔法で、後世に伝えるべきではないとされた魔法なのです」
「……一体、どのような危険があるのですか?」
「魔力が汚染されるのです」
「汚染?」
< 39 / 118 >

この作品をシェア

pagetop