妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 私は、スウェンド王国の王城にて働いていた。
 仕事の方は、特に気にしていない。だが、ドルマニア王国のことは気になっている。頭の片隅に、常にそのことがあるのだ。

「フェルーナさん、そちらに魔力をお願いします」
「あ、はい……」

 私は、エルムルナ様の指示に従って魔力を注ぐ。
 現在私達がやっているのは、王国内の結界の整備だ。
 外敵から守る結界は、王国にとってとても大切なものである。その整備の途中で、余計なことは考えるべきではないだろう。

「……この程度で大丈夫でしょうか?」
「ええ、問題ありません。流石ですね」

 結界の維持には、多大な魔力が必要だ。
 繊細な作業であるため、それなりに魔力を扱う技量もいる。
 考えてみれば、ホーネリアはその辺りをどうしているのだろうか。その辺りも少し気になったが、私は意識を切り替える。今は、集中するべき時だからだ。

「やはり、あなたの存在は助かります。年々、魔力は落ちますし、技量も衰えていますから、日々の業務が辛かったのです。そろそろ引退を考えるべきなのでしょうね……」
「そんなことを言わないでください。エルムルナ様程優れた魔術師は、いませんよ」
「……そうですね。まあ、だからこそ私が聖女に復帰することになった訳ですから」
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