妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 スウェンド王国は、聖女に相応しい人材がエルムルナ様以外に見つからなかった。そのため、彼女は引退後、また聖女に就任することになったのである。
 つまり、この国で聖女として活動できるのは、彼女だけなのだ。そんな彼女が引退してしまうと、大変なことになるだろう。

「でも、幸い後継者が見つかりましたからね……」
「後継者?」
「ええ、フェルーナさんですよ」
「私、ですか?」

 エルムルナ様の言葉に、私は驚いていた。
 よく考えてみれば、当然のことではあるのだが、私は聖女になれる資質はある。だが、そのことがすっかり頭から抜けていた。なんというか、少し間抜けである。

「あなたには資質があります。それに、アグナヴァン様の婚約者なのですから、聖女の地位に就任するのは必要なことではないでしょうか?」
「……確かにそうですね」

 アグナヴァン様の婚約者として相応しくなるには、聖女の就任は必要なことだろう。
 聖女というのは、国内でもかなり重要な役職だ。その役職に就きさえすれば、他国の人間である私が王妃となることに関する批判も、少なくなるかもしれない。

「フェルーナさん、どうかお願いします。私の後継者として、このスウェンド王国を支えてください」
「……はい」

 私は、エルムルナ様の言葉にゆっくりと頷いた。
 こうして、私は自らの将来を改めて考えることになったのだった。
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