妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「なるほど、エルムルナ殿はそう考えていらっしゃるのか……」
「ええ、そうみたいです」

 私は、アグナヴァン様と夕食を取っていた。
 彼と婚約してから、基本的にはそうするようにしている。
 お互いに何があったのかを報告しながら、夕食を取るのはそれなりに楽しいものだ。

 私が今話しているのは、エルムルナ様に言われたことである。
 次期聖女として期待されているという事実に、アグナヴァン様は少し考えるような仕草を見せる。
 それはきっとアグナヴァン様にとっても、重要なことであるはずだ。私が聖女になれば、色々な反感をはねのけられる可能性もある。それは批判を受ける対象となる彼にとっては、有益なことだろう。

「実の所、俺もそのことについては考えていた」
「そうなんですか?」
「ああ、正直な所、あなたとの婚約を成立させるにおいて、それは必要なことだろうと思っていたのだ。それに、そもそもの話ではあるが、スウェンド王国は聖女になるべき人材が欠けている。それを埋められるのは、あなたしかないとも思っていた」

 アグナヴァン様の言葉に、私は少し驚いた。
 どうやら、彼もエルムルナ様と同じようなことを思っていたようだ。
 考えてみれば、スウェンド王国はそういった人材に関しては人材不足なのだから、現聖女と王子の思考が一致するのも当然のことなのかもしれない。
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