不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

つながる想い



 私はハッと目を覚ました。
 ここはどこだろう……?

 身動きが取れないと思ったら、椅子に座らされて硬く縛られている。
 どうしてこんなことになったのか、記憶を遡った。

 そう、和仁さんを待っている間、急に駐車場で男性が倒れて苦しみ出して。
 慌てて車から出て駆け寄ったら、急にその人が起き上がって何かを嗅がされて……そのまま意識を失ったんだわ。


「気が付いたか」


 私を連れ去ったのであろう、男性が私を見下ろす。
 年は若そうに見える。20代前半くらいだから私とそう変わらないのかも。
 黒いスーツを着ていて、シルバーリングがいくつも嵌められていた。口元にはピアスをしている。

 全く見覚えのない人だけど、何となく雰囲気からこの人も極道なのかしら?


「お前が吉野和仁の女だな」

「……」

「外人の嫁をもらっていたとは生意気だ」


 一応国籍は日本人なんですけど、と思ったけどそんなこと言っても仕方ない。


「今のお前の姿を見たら、どう思うだろうな」


 狙いは和仁さんで私は人質ということね。


「どうしてこんなことをするんです?あなたは何者なんですか?」


 聞くだけ無駄かもしれないと思いつつ、尋ねてみた。


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