神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
第15章
――――――…さぁ。

これで、マシュリも少し落ち着いただろうか?

「…」

改めてマシュリは、無言で周囲を見渡した。

控えめに言って…惨状、って感じになってるが。

しかし、何度も言っているように。

これはマシュリの責任ではない。

暴走したくてしてるんじゃないんだから、マシュリを責めるのはお門違いというものだ。

「…酷いね、これ」

ポツリと呟くマシュリ。

「心配するな。家具なんてまた買える」

人命が失われなかったんだから、それで充分だ。

「怪我した人達も大丈夫だよ」

天音が、回復魔法をかけ続けながら言った。

「やれやれ…。お前達と一緒にいると、気が休まる瞬間がないな」

ずっと防御魔法陣を展開してくれていたジュリスが、ようやく魔法を解除し、一息ついていた。

ごめんな、ジュリス。

「助かったよ…。お陰で、学院長室以外は壊れなくて済んだ」

「全くだ。特別手当を要求したいもんだな」

「だってよ。シルナ、ポケットマネーから出してやれ」

「馬鹿、冗談だよ。本気であんたらから金取ろうなんて思ってねぇよ」

そうか。

それは…ありがとうな。

「それより…。…ベリーシュ、大丈夫か?」

ジュリスは、天音に回復魔法をかけてもらっているベリクリーデに声をかけた。

…そういえば。

ずっとそれどころじゃなくて、スルーしてたが。

ベリーシュっていうのは一体…?

見たことない…星辰剣だっけ?二刀流の武器持ってたし…。

あれは結局何だったんだ…と、思ったが。

「…?…あ、ジュリスだ」

さっきまで、凛々しい表情をして戦っていたベリクリーデだったが。

今度は一転、いつものぽやんとした表情でジュリスを見上げていた。

「ジュリス、大丈夫?疲れた?」

「ん?あぁ…ちょっと…いや、だいぶ疲れたけど…お前の世話よりは楽だったな」

「そっか。良かったー」

…嫌味が通じない辺り、本当にいつものベリクリーデだな。

「…戻ったか…」

ジュリスは、小声で小さくそう呟いていた。

…戻った…?

どういう意味なのか分からないけど…。
  
「ジュリス…それどういう、」

と、俺が聞こうとしたそのとき。

「うぅ…。…全身が死ぬほど痛い…」

「あっ、ナジュ君…!」

ようやく、意識を失っていたナジュが目を覚ました。
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