低身長先輩の攻略法。

4 バスケ部の放課後 Part2

その後もバレー部の使っているネットや棒を出し、マットも全て出す。
中がスカスカになると、ホウキを持ってきて丁寧に掃く。
隅っこまで綺麗に掃いていると、「アスカって絶対A型だよね〜」とノノ先輩が笑った。
「わかりますか?」
私もそう言って笑い返す。
「ってことはミライくんもA型?」
ノノ先輩の言葉にこくりと頷く。
ミライはO型っぽいけど、一応A型。
ミツ先輩がチリトリでゴミを取ってくれる。
更に雑巾を取って濡らし、床を拭いた。
「やばっ、めっちゃ綺麗…!」
全開の窓を閉め、また用具をしまい直す。
「アスカ、お前今日の小テストどうだった?」
話しかけてきたのはハヤテ。
「よゆーだった」
正直に答える。
「はぁっ!?あれちょー難問だっただろ!?」
びっくりしている様子のハヤテに苦笑いを返した。
「あれ教科書読んでれば解けるやつだよ」
後ろからぽんっとハヤテの頭を叩くミライ。
「くっそ、この秀才双子め…!」
ちなみに私とミライは一卵性で、よく似ている。
顔は私が髪を切って、ミライが髪を伸ばせば見分けがつかない。
2人とも同じ青色の髪にエメラルドグリーン色の瞳。
身長は2人とも158センチ。
体つきはさすがに違うけど…。
頭も自慢みたいだけど2人とも良い。
けれど得意科目だけは違う。
ミライは理科と社会、家庭科、技術。
私は国語と英語、数学、美術。
体育は2人とも大得意!
全くバラバラだから、テスト期間は2人で教え合ったりしている。
「アスカ助けて〜!リュウに殺されるっ!」
「はい?」
見ると、サクがリュウに追いかけられている。
何したんだか…。
ふぅっと息を吐き、「何してんのー?鬼ごっこー?」と冗談まじりに叫ぶ。
「ちげぇよ!見りゃわかるだろ!」
「サクが悪いんだよ、俺の好きな人バラそうとするから」
サクに追いついたリュウがヘッドロックをかける。
「っ、痛い痛い!やめろリュウ…!」
「やめろって言われて俺が辞めると思う?たっぷり可愛がったげるよ」
ニヤニヤと笑いながらハヤテが哀れみの目を向ける。
「こら、お前ら遊ぶな!」
シュン先輩が呆れた様子で言う。
あはは…。
でも、リュウに好きな人がいるのは意外だなぁ…。
「えー!リュウくん好きな人いんのー!?!?」
女バス1番のお喋り、リンカ先輩が叫び、それに気づいた先輩方が振り向く。
「リュウ!?」
「ガチ!?」
それを聞きつけた男バスの先輩がどんどん広めていく。
「おいリュウ〜、誰なんだよ〜」
「先輩に教えろよ〜」
「絶っっっ対に言いません!!」
リュウの顔がみるみる赤く染まる。
「お、怪しいな〜」
キサト先輩が目を細めてリュウにしがみついた。
「吐くまで逃がさないぞリュウ…!」
「ちょっと、離れてください先輩!」
「嫌だね!」
ハオ先輩がリュウの肩に手をまわしていて、キサト先輩が腰に抱きついている。
「ちょっと、遊ばないで!」
ノノ先輩とウミ先輩、マユ先輩が呆れた様子でため息をついた。
「もう掃除終わったじゃん〜、遊ぼうよ〜」
「部活だよ!」
「も〜帰りた〜い」
「帰んな!!」
マユ先輩が目を3角にして怒っている。
「校庭行くよほら」
ミライがハヤテとサクの首根っこを掴んで引っ張って行く。
「キサトも行くよ!」
リンカ先輩がキサト先輩の耳を引っ張る。
あっ…。
リンカ先輩は身長が150弱しかないため、キサト先輩と同じくらい。
じーっと2人を見つめていると、リュウが声をかけてきた。
「ほら、アスカも行くぞ」
手を握られ、振り払えるわけもなくリュウと一緒に体育館を出た。
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