再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
セーラの目の前に立ったマオの胸の真ん中は、楔がザックリ刺さっていた。
「え?なに?」
セーラの手が握った楔が、マオの胸に深く突き刺さっている。
マオの胸から流れた赤い血が、楔を伝い、セーラの手を伝って白いドレスを赤く染めていった。
「なんで」
「聖女様の手だけお借りして、私が楔を押し込みました。聖女様にはできないと判断したので」
聖女の手に握らせた楔を、ビンビンがセーラの手の甲の上から無理やりマオの胸に押しこんだ。
この一瞬の、マオの自由を奪うために、ビンビンはセーラの口紅に毒を仕込んでいた。
セーラの口紅であれば、マオは喜んで喰らうと知っていたから。
セーラがわなわな震えて楔から手を離すが、マオの血は止まらない。セーラを一切恨むことなく、口端から赤い血を垂らしたマオが綺麗に笑う。
「セーラの手で死にたかったんだ。セーラに殺されるなら、これは喜び、だよ」