静穏総長も、時には激しく愛したい
「俺は、もう逃げない。自分にとって大事なものが何か、分かったんだ。
今まで散々、逃げて来た。自分の気持ちを見ないフリして、本当の気持ちを隠していた。
だけど……もうやめる。
金輪際、我慢しない。
自分の好きな人を好きなだけ守りたいっていう、自分の気持ちに素直になる。それが自分への優しさだって、やっと気づいたんだ」
「――おい」
「わかりました」
奏さんを上から下へ、何度か視線を往復した後。夕暮は部下に命令した。
嬢ちゃんと千秋奏の部下を解放してやれ――と。
すると部下はすぐに動き、まだ状況を理解できない私たちを、建物の外へ追いやろうとする。
「え、ちょ……待って……。
待ってよ、奏さん!」
「総長! なんでですか、総長!
裏切った俺の事なんか放っておけよ!」
私と睦さんが叫ぶも、奏さんは振り返らない。絶対に。