冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 逞しい胸のなかに抱きすくめられて、強く彼を感じる。

(大好きな人の腕のなかは、こんなにも幸福なんだ)

 左京に出会わなければ、それを知ることもなく蛍は一生を終えていただろう。そう思うと、彼とこうしていることが奇跡のように感じられる。

(左京さんがくれる愛は永遠ではないかもしれない)

 自分たちは本物の夫婦じゃないから、この日々がずっと続くことはないだろう。でも、彼とこうなったことに後悔はない。

(先のことはわからないけど……今、目の前にいる左京さんは嘘じゃないって信じられるから。それだけでいい)

 
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