冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 唯がギロリとこちらをにらむ。

「さっさと手を動かしたほうがいいんじゃないですか。この量を今夜中ってなかなかハードですよ」
「う、うん」

 唯にならって蛍もパソコンに向き直る。画面を見つめたまま、唯が言った。

「別に親切心ってわけじゃないんで勘違いしないでくださいね。今日の合コン、全然気乗りしなかったんで」

 蛍は曖昧な相づちを打っただけだけれど、唯はお構いなしに続けた。別に蛍に聞いてほしいわけではないのだろう。

「相手は最大手の自動車メーカー勤務って聞いたからOKしたのに、実は子会社だったって今日になって知っちゃって。奮発して二万もするワンピ買ったのに、お金返してほしいって感じ」

 ブツブツ言いながらも、きっちり手は動かしてくれている。

 今日も、彼女の爪はダークブラウンのベースにクリスタルが輝いていて綺麗だった。

「理由はどうあれ、本当にありがとう。助かります」

 丁寧に礼を伝えたのに唯は思いきり眉間にシワを寄せてこっちを見た。

「きもっ。素直な大槻さんとか、むしろ怖いんでやめてくださいよ」
「それを言うなら、誰かの仕事を手伝う山下さんも初めて見たけど」
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