冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 できれば彼女より早く仕事を終わらせ迎えに行ってやりたい。そう思い猛スピードで仕事をこなした。

 だが、やっと片づいたところで電話が入る。相手は島だった。

「おつれさまっす。まだいますよね?」
「いるにはいるが」

 時刻はもう夜十時。が、周囲を見回せば業務時間中となんら変わらない数の人間が平然と仕事をしている。世間ではなにかと話題になるワークライフバランスってやつを自分たちももう少し考えるべきなのではないか。左京は真剣にそう思った。

「少し外に出れませんか? 赤霧会の件、報告があって」

 本音を言えば、断って蛍のもとに帰りたいが赤霧会はその蛍の安全に関わること。ノーとは言えない。

 スマホと財布を雑にポケットに突っ込んで左京はオフィスを出た。警察庁から警視庁は目と鼻の先だ。

 左京が建物を出ると、すでに島が待っていた。電話しながらもうこちらに向かっていたのだろう。

「どこか入るか?」
「いえ、すぐ済むので立ち話で」

 夜の霞が関は静かなもので、誰かに聞かれる心配などもいらない。塀にもたれかかった姿勢で島が話し出す。

「赤霧会と付き合いのあるホストクラブのオーナーに接触できました」
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