冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 嫌な沈黙が落ちる。海堂治郎をはじめとした与党の政治家に手を出す。かなりの覚悟がないとできないことだ。ここで終わるとは思えない。

 おそらく島も同じことを考えているのだろう。

「嵐の前の静けさってやつに思えて仕方ないんすよ」
「同感だな」

 一度しかあったことはないが、犬伏はなかなか強烈な個性を放つ男だった。『狂犬』の異名のとおり、狙った獲物は一度度食らいついたら決して離さない。彼のやり口は凶暴で残忍。
 
「ここで手を引いたら、犬伏はいい笑い者ですもんね」
「そうだな。あいつらは見栄と面子をなによりも大事にするから……まぁ警察もそれは同じか」

 左京の言葉に島はクスリとする。左京は続けた。

「自尊心と自己顕示欲の塊みたいな男がここで引きさがるとは思えない」

 本人はインテリヤクザを気取っているそうだが、結局は知性ではなく暴力で優位に立とうとする。

「ですよね~」
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