冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 言いたいことはよくわかる。

 スーツの着こなし、髪型、姿勢や歩き方。彼らの醸し出す空気は堅気の人間とはやはり違う。そういうものを左京たちは『匂い』と表現している。

「なにを話してたかまでは聞こえなかったそうですが、相手はエリート銀行マンみたいな外見で絶対に堅気の人間だって」

 それが情報提供者の主張らしい。

「元ナンバーワンホストらしいですから、人を見極める目は信用していいかもしれないっすよ。女性客の持ってるバッグだけで、どんな仕事をしているか想像がつくって自慢してました」
「……堅気の男か」
「調べたところ、犬伏はうかつに堅気と関わったりはしないタイプらしいんですよ。だからちょっと気になっていて」

 もっとも元ナンバーワンホストの見立てが間違えている可能性だってある。

 だが、本当に善良なビジネスマンだとしたらたしかに気になる。どんな事情でふたりは会う必要があったのか。

(今回の件と関係あるんだろうか)

「その銀行員風の男の正体は特定できそうか?」
「まだです。チラッと見かけただけとのことなので特定は難しいかも」
「もしわかったらすぐに連絡してくれ」

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