冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 もらった資料に目を落とす。

「ただですね~。本当に普通の会社員って感じで、どこの会社にも二、三人にはいそうな男で」

 島の言ったとおり目立つ特徴のない顔立ちだった。柔和で真面目そうな雰囲気。年齢は四十前後だろうか。オールバックの髪にフレームの細い眼鏡。たしかに銀行員っぽい。

「この絵がそれなりに似ているのなら、堅気っていうのは正しいかもな」

 もっとも、これは写真や映像を見て描いたわけではなく聞いた特徴をもとに想像して絵にしているのだ。そっくりという確率はあまり高くない。

「この見た目ならヤクザのなかから探すほうが簡単そうですね~」
「まぁな。こんな感じの男ならつい最近も見たような気が……」

 そこまで言って、左京はゴクリと喉を鳴らした。

(そうだ。つい最近、この絵によく似た男に会っている)

 左京の頭が高速で回転しはじめる。

(落ち着け。よくいる顔であることは間違いないのだから確証はない。だが、もしあの男と犬伏が繋がっているのだとしたら……)

 背筋が凍る。
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