冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 左京はベッドに浅く腰かけ、しばしの間蛍の寝顔を見つめていた。

 自他ともに認める、冷めた男だった左京の胸に温かな愛情が込みあげあふれ出す。

 柔らかな頬にそっと唇を寄せる。

「――愛してる、蛍」

 赤霧会の件が解決してから。そう決めていたのにフライングしてしまった。

(明日こそは話をしよう)

 もし避けられているのならその理由を聞きたい。不安や不満があるのならすべて解消するから……またあの笑顔を見せてほしい。

 左京はふっと自嘲するように笑む。

(君には悪いが、もう離してやれそうにないんだ)

 島は仕事の早い男で、翌日にはもう銀行員風の男の新情報を持ってきてくれた。

 夜七時、昨日と同じように外で彼と落ち合う。

「ホストクラブオーナーの証言をもとに似顔絵を描いてもらったんです。前科があったりすればわかるかな?と」
「なるほど、似顔絵か」
「残念ながら警視庁の持つ情報のなかに該当しそうな人物はいませんでしたが」

 そう説明しながら島は左京にファイルを手渡した。

「それでも菅井さんは見たがるんじゃないかと思って」

 左京はふっとほほ笑んだ。

「さすが。気がきくな」
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