冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 今夜の彼はなんだかとても意地悪で焦らすように蛍をもてあそぶばかりだ。これが彼の作戦なのだと薄々気づきながらも、もどかしくなってしまう。

「左京さんの服、脱がせてみてもいいですか」

 らしくもなく積極的な蛍に彼は満足げに目を細めた。

「どうぞ」

 自分がこんなふうに動くなんて信じられない。ドキドキしながら彼のシャツのボタンを外していく。鍛えあげられた硬そうな腹筋に目が釘づけになる。

(恥ずかしくてあまりちゃんと見たことなかったけど、かっこいい)

 思わずそっと唇を寄せる。すると彼の身体がびくりと震えた。同時に左京が「んっ」とかすかな声を漏らす。

 反応があったことが嬉しくなって、蛍はもう一度彼の素肌にキスを落とす。

 唇が腰骨の辺りに触れたとき、「ストップ」と彼が蛍の肩を押した。

「もうまずいから。それ以上は」

 弱りきった顔の左京に愛おしさが込みあげる。

「左京さん」
「ん?」
「大好きです」
「俺もだ」

 彼が覆いかぶさってきて蛍の身体を優しく抱きしめてくれる。

「愛してる、蛍」

 彼の熱が蛍のなかに入ってくる。眼差しからも繋いだ手からも、彼の深い愛が伝わってきて喜びに胸が震えた。

(左京さんを好きになって、好きになってもらえて本当によかった)

 孤独だった蛍の人生に左京というひと筋の光が差した。

 それだけで世界が一変し、毎日がキラキラと輝き出したのだ。

(私も左京さんにとって、そういう存在になりたいな)


                                             END

 
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