冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 そして迎えた週末は春らしい暖かな陽気に恵まれた。蛍はピンクベージュのシフォンワンピースに身を包み、左京と一緒に部屋を出た。

 彼のほうはアイボリーのスプリングニットにネイビーのパンツ。ヘアセットの感じもいつもと異なり、カジュアルな雰囲気だ。

 スーツと部屋着姿しか見たことがなかったので、新鮮に感じる。

(こうやってあらためて見ると、ものすごい美形)

 腕のいい彫刻家の作品のような、完璧なバランスの横顔をまじまじと眺めて蛍は思った。美麗な顔立ちなのにしっかりと男らしく、なによりもふとした仕草から漏れ出る色気がすごい。

(会社の女の子たちはみんな、営業の大園さんが素敵だと口を揃えるけど……唯さん辺りは菅井さんに会ったらコロッと態度を変えそうだな)

 長身イケメン、名家の生まれでエリート官僚。左京は唯がいつも語っている願望を詰め込んだような男だ。

(モテるよね、きっと。なんで恋愛や結婚に興味がないんだろう)

 蛍は特殊な生い立ちが影響しているが、彼にはなにがあるのだろうか。

「なんだ、俺の顔になにかついてるか?」

 ふいに顔を近づけられて蛍はビクリとする。

「いえ、なんでもないです」
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