花言葉〜青い春〜

今日も二人は校門でバラバラになった。


菫が校門をくぐるとすぐに、


「菫おはよー!」


と、同じクラスの川霧理沙(カワギリリサ)に肩を叩かれた。


理沙とは中学校からの同級生で、菫が桜と関係なく初めてできた友達だった。


中学では同じ陸上部に所属し、高校に入ってからはマネージャーとして陸上部に在籍している。



「あ、委員長!おはよう!ねぇ昨日の宿題分かった?」

「委員長!今日の英語の予習の確認させて。」


理沙と挨拶を交わしていたら、すぐさま菫はクラスの子達に囲まれた。


「分かったよ。教室でみんなで確認しよう。」


菫は桜を扱うように、クラスメイト一人一人に面倒見よく対応していく。


高校に入ってから、委員長がクラスでの菫の呼び名になった。


原因は超が付くくらいいい加減な担任のせいだったが、菫はこの委員長という呼称を気に入っていたりもした。


周りから頼りにされている感じがしたし、名前より委員長の方が、みんなから気安く声をかけてもらえている。


「菫、宿題とか見せるの嫌だったら意思表示しなさいよ。」


理沙の耳打ちに、菫は静かに首を振った。


「嫌だったら、ちゃんと言うよ。平気だからだよ。みんな優しいし。」


そう、中学校のときは宿題や予習を見せるのに抵抗があった。


菫だって人間だ。間違えることも多々ある。


中学校のときは、間違えると周りから嘘を教えたとひどく責められた。菫が最初に間違えいてるかもよと忠告していても。


今は違う。みんなでノートを見せ合って確認することがメインだ。


菫の答えは他の人より信頼されていたが、三人以上一致しているのが前提だった。


そのわいわいとノートを見せ合う感じも、菫は楽しんでいた。みんなで協力し合う感じが好きだった。
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