完全包囲 御曹司の秘めた恋心

私の御曹司

◇◇◇◇◇

彼から語られた真実は、とても大きな愛情の塊だった。

颯介君………

「私のこと、ずっと見てくれていたのね」

彼がゆっくり頷く。

「お姉ちゃんも、お母さんも、お父さんも、おばあちゃんも、それに、桐山さんまで。おじいちゃんはちょっとわからないけど、みんな……」

「環奈ちゃん、君は、俺の家族も含め、みんなに愛されてる。みんなが君の幸せを願っているんだ。でも、こんなことになってしまったのは俺のせいなんだけど……」

「あの時笑っていた本当の理由は、私が思っていたものと全然違ったじゃない」

「君を傷つけたのは事実だ。ごめん……」

「私の方こそ、ごめんなさい」

「え? どうして君が謝る必要が?」

「だって、私も颯介君を傷つけた。颯介君の気持ちも知らず、自分ばかりが被害者面してた」

彼が激しくかぶりを振る。

「君はちっとも悪くない」

「ねぇ、颯介君」

「ん?」

「パーティーのその後って……」

「大丈夫だよ。誰主催のパーティーだと思ってんの?台無しになるわけないだろ。あぁ、でもアイツらは財閥が主催する行事には出禁になった。熊野御堂の顔に泥を塗ったようなもんだからな」

「そう、なんだ……」

「環奈ちゃん、思い出すのも嫌かもしれないけど、教えて欲しいことがある」

「何?」

「オランウータンってどういう意味?」

「えっ……」

颯介が訊いてくるということは、あの人たちが言ったことを知らないのだ。
私自身、誰にも話していない。両親にも、桃香にも、どういう意味だと訊かれたけれど、みんなを傷つけてしまいそうで言えなかった。

「それは……」

私が口籠っていると、颯介が首を横に振った。

「いいよ。話さなくていい。もう、君を傷つけることはしたくないから」

「あの人、あの人が……」
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