完全包囲 御曹司の秘めた恋心
「颯介君」

「ん?」

彼の手をそっと握る。

「今日は素敵な誕生日プレゼントをありがとう。私、一生忘れない」

「……」

「颯介君?」

「来年も、再来年も、10年後も20年後も、その先もずっと一緒に祝いたいんだけど、ダメ、かな?」

私はゆっくりとかぶりを振る。

「ダメじゃないわ。私も、颯介君の誕生日お祝いさせてくれる? 来年も、再来年も、10年後も20年後も、おばあちゃんになっても」

彼の表情が、陽光を浴びたようにキラキラしている。

「大歓迎だ」

そして、彼はポケットから何やら取り出した。

「左手、出して」

私が左手を差し出すと、彼は手にしていた何かを私の指に通していく。

「これ……」

「うん、ピッタリだな」

私の薬指には、ブライトグリーンの宝石が輝いている。
私の誕生石、ペリドットだ。

「ホント、私のこと、どこまでもリサーチ済みなのね」

「あたりまえだろ」

思わず笑みがもれる。

「環奈ちゃん」

「環奈でいいよ」

「環奈、やっとつかまえた」

彼の腕が私を優しく抱きしめる。とても温かい。

その時、東京タワーのダイヤモンド・ティアラと、メインデッキのダイヤモンド・チョーカーが、純白の光に照らされた。

「颯介君、ほら見て」

彼がゆっくりと振り返る。

「また新しい一日が始まったね」

「日付が変わる前に渡せてよかった。俺、幸せだよ。環奈を幸せにするのが俺の役目なのに、俺の方が幸せにしてもらってる」

「うふふっ、だったら、二人で幸せになればいいんじゃない?」

彼が私を見つめる。

「そうだな」

そして、大きな手が私の頬に添えられた。
彼の端正な顔が段々と近づいてくる。
私はゆっくり目を閉じた。

そっと唇が重なる。優しくて甘い私のファーストキス。

「環奈……」

彼の体温を感じながら、私は幸せを噛み締めた。

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

財閥御曹司?

私にとってそれは、私の幸せを想い、優しい笑顔で包み込む、とても温かい最高、最良の王子様だ。

                END
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