孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「たまには息抜きしようね。こっそり王都の城とここを繋いでもいいから。しんどくなったら逃げてきて」
「あはは、ありがとう。それができると思うだけでほっとする」
「ふふ」
「あ、料理取りに行こうよ。私そんなに料理得意じゃないから教えてほしい今度」

 料理のテーブルに向かいながらリイラは言った。でも妃が料理なんてするんだろうか。

「えっ、料理とか作る機会ある?」
「実はない。でもたまには自分の好きなもの食べたくなるし……マティアス様に私が作ったもの食べてほしいっておもう」

 料理を取り分けながらそう語るリイラの目は恋する目をしている。
 そうだよね、身分とか関係ないんだった。好きな人に喜んで欲しい気持ちは、誰にだってある。

 会場を見渡すと、マティアス様と談笑しているアルト様の姿が目に入る。昨年のクリスマスからは想像もつかなかったクリスマスだ。
 少し戸惑っているようにも見えるけど、皆の輪の中にいるアルト様を見るとやっぱり嬉しい。

 しばらくリイラと食事をしながら話しているとアルト様と目があった。こっそり見続けているのがバレてしまったらしい。
 アルト様が近づいてきたことに気づいたリイラは
「じゃあ私もマティアス様のところにいくね。メリークリスマス!」と私から離れていった。

 アルト様もタキシードを着て、いつもと違う姿にときめくから
「アルト様、メリークリスマス!」と声をかけた。黙っていたらいつまでも見とれてしまいそうだったから。

 私にグラスを傾けてアルト様は微笑んだ。少し酔っているのか頬が赤い。

「アイノ、少しだけ外に出ないか」
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