孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
 魔物の様子も気になるのかもしれない。私は了承してアルト様と共に城の外に出た。
 城の外もアルト様はイルミネーションをしてくれていたようで、光の道ができている。魔物たちは何匹かいるけど大人しく私が用意した料理を食べていた。

 光の粒たちに誘われながら、私たちは墓地にたどり着いた。
 一年前、ここで今年のクリスマスの約束をした。来年もこれから先のクリスマスも。
 あの時と違うのは、私たちは本当の家族になれていること。魔の森から追い出されるのでは?なんて思う必要もない。

「今年のクリスマスがこんなに賑やかになるなんて予想してなかったです」
「確かにな」
「でも嬉しいです」
「俺は二人でもよかった」

 光の粒を見つめながらアルト様は小さな声を発した。言い方が可愛くて思わずほほ笑む。

「私、アルト様がみんなに囲まれてるの見るの好きなんです」
「変な趣味だな」
「アルト様の良さが世界中に伝われって思ってますから」

 本心だ。だってこんな素敵な人をみんなが知らないなんてもったいない。魔の森の奥で誰も知らないでいた優しさがもっと広まればいいのにと思っている。

「俺はアイノが人に囲まれてると落ち着かない」

 返ってきた言葉は予想外で、アルト様が拗ねたような口調だから思わず顔を覗き込んでしまう。

「なんでですか」
「アイノのことをみんな好きにならないか?」
「なりませんよ!」

 アルト様の小さな悩みが可愛くてつい笑ってしまったけど、アルト様は真剣な顔をしているからますます可愛い。
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