孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
 マティアス様のことを笑ったけど、アルト様も独占欲は人並みにあるらしい。ショコラの言っていたことはこのことか。

「私のこと、魔の森から出さなくてもいいですよ。私はここから出られなくてもいいと思って、花嫁に立候補したんですからね!」

 私が明るくいうとアルト様はようやく表情を和らげてくれた。
 そして私の髪の毛にそっと触れる。光の粒が私の髪の毛にたくさん咲いていた。

「アイノ、ありがとう。こんなクリスマスが送れるとは思っていなかった」
「アルト様の優しさのおかげですよ」
「これからもこの城には人を時々招こうかと思っているんだ」

 アルト様が人を招くというのは意外だ。今回のクリスマスパーティも私とリイラとショコラが計画したものでアルト様はそんなに興味があるようには見えなかった。

「魔物の研究チームを時々ここに招いて、本格的に研究を進めようとおもう」

 アルト様は穏やかな声で、料理を食べ続けている魔物を眺めた。雪のようなモフモフとした狐のような魔物と白フクロウのような魔物がすぐ近くにいる。

「魔族はこれからも続かせていきたい」
「いいですね! 私ももちろん協力しますよ! 研究チームのご飯は私が作ります」
「皆アイノを好きにならないか?」
「まあ胃袋は掴めちゃうかもしれませんね」

 冗談交じりでそう言うとアルト様は一瞬眉間にシワを寄せる。そんな本気にしなくてもいいのに。

「……アイノがこの森にきて何もかも変わった。来てくれてありがとう」

 アルト様はやっぱり少しだけ酔っているのかもしれない。素直に吐露された気持ちが嬉しい。

「私もこの森に来てから幸せばっかりですよ」
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