凄腕外科医は初恋妻を溺愛で取り戻す~もう二度と君を離さない~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】

「愛してる、茉由里。茉由里、茉由里……」

 彼は狂おしそうに私の名前を何度も呼ぶ。呼ぶこと自体が彼の幸福であるかのように、飽きることなく何度も。

「宏輝さん……」

 一度呼び返せば、宏輝さんは蕩けるような笑みを浮かべる。

 どうして。
 あなたは全て持っているじゃない。
 才能も容姿も、家柄も……なのに彼は私だけを求めているかのように振る舞う。私だけのために生きているかのように私を呼ぶ。

「茉由里、愛してる。もう絶対に離さない」

 そう言って私の左手を少し強く掴む。らそうして薬指に吸い付いた。はっと息を呑む私の目をじっと見つめながら、その指をゆっくりと甘く噛んだ。
 マーキングされているのだと、そう思った。理知的な彼がひどく野生的な雰囲気を浮かべ私を見つめている。

「誰にも渡さない、茉由里。君は一生、俺の腕の中で啼いていればいい」

 そうして彼は私に入ってくる。
 硬い熱に翻弄され、その熱に浮かされ、私の意識は再び朦朧としていく。
 快楽の波間で、私はただこの恋慕を持て余す。
 私は彼にふさわしくない。

 ふさわしくないのに──狂おしいほど、私もまた彼を求めているのだと。
 
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