フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる

【番外編】櫂先輩の好きなタイプ


文化祭が終わって、文化祭後に来た定期考査も無事に乗り切り、


ひと段落した12月上旬の放課後のこと。


「え?クリスマス?」


「はい!クリスマスに先輩と会いたいなーって!」


部活帰り、憧れの先輩で彼氏でもある富谷櫂(とみやかい)先輩と


いつものように放課後帰ろうかと思い、


生徒会室に迎えに行ったら、


櫂先輩は生徒会長だからなのか


来年の生徒会選挙に向けての資料を作成していた。


「…いつも会ってるでしょ」


「それはそれです!クリスマスはクリスマスです!」


「ははっ、何それ(笑)」


作業で追われてるのにも関わらず、


こうやって普通に話してくれる先輩が私は大好き。


先輩は分かりにくい不器用な性格だけど、本当は仲間思いな優しい人。


だから今私に向けて面白がってる笑顔が、私にしか見せない顔だって分かる。


先輩、気が抜けたり、ハメ外したりして笑う顔、結構可愛いんだよな…。


そんな風にぼーっと先輩を眺めて、先輩の仕事が終わるのを待っていると。


「いいよ」


唐突な肯定をする声が耳に入った。


「へ?」


何に対しての「いいよ」なのか分からず、頭にはてなマークを浮かべながら、


間抜けな返事をする私に、満遍ない笑顔を見せてきた先輩は。


「クリスマス、いいよ。彩の顔を夜まで見れるってことでしょ?最高じゃん」


さっきまでのやる気のない返事とは矛盾して、


またしてや穏やかながらも弾けるような笑顔を浮かべてきた。


そんな先輩に対して私はというと…


(先輩、その顔はズルい…!可愛くて爆死しちゃうっ!)


「本当ですか!やったー!」


胸が破裂するような心の中のドキバグな気持ちが素直に顔に出て、


これでもかと思うほど口を縦に開いて喜ぶ私。


体全部を使って飛び跳ねながらキャピキャピして喜んでると、


「彩、可愛い」


先輩からのいつもの甘い言葉が降って来て、


甘く溶けてしまうようなキスが落ちてきたのは言うまでもない───。
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