その優しさでとどめを刺して
先生のところへひとりで行きたがった美嘉を、殆ど無理やり納得させて2人で歩いた。
そしてそこでも俺はズルをした。
一緒にいたいと、直接言わずに。
ダメ?なんて、絶対に美嘉が断れないことを知っていて。
情けない自分に自嘲してしまう。
こんなだから、バチが当たったのだ。
夢の国なのにと呟いた美嘉に、初めは体調不良のせいで満足に遊べないことへの不満だと思った。
俺の下っ手くそな慰めは、その後に聞こえた震えた声によって、何の意味も成さなかったのだと思い知らされる。
悲しい色を含ませながらはらりと泣いた美嘉に慌てて近づけば、心臓がぎゅっと掴まれたように痛かった。
美嘉が泣いてる。
なんで? 誰が泣かせた?
……俺か?
触れていいか聞きもせず頬に手を伸ばして涙を拭えば、特に何も言われなかったから、そのままずっと離さなかった。
そして俺の問いかけにも、何も答えてはくれなかった。