その優しさでとどめを刺して
そんなの当然だろと、どこか冷静な声が頭に響く。
辛い?気持ち悪い?
どの口が言ってるんだ?
ひとりにして欲しいと口にはしなかったけれど、暗にずっと美嘉はそう言っていた。
それを無視してそばに居続けたくせに何を今更。
しかも最終的に美嘉に決断を委ねた。断れないことを知っていながら。……いや、知っていたからそうしたのだ。
このまま一生泣き止まなかったらどうしようと本気で思っていた時だった。
「嫌いに、ならないで……」
消えてしまいそうなほど小さな声だった。
それと同じくらい、目の前の美嘉が小さく見えて。
こんなにも好きなのだから、嫌いになることなんてあるわけないのに。
掴まれた心臓がじくじくと痛みを広げる。
もはやどうにでもなれと思った。
例えこの傷が広がろうとも、美嘉のためなら喜んで痛みに耐えられる覚悟はある。
───いい加減、腹括れ。
己を叱咤して、震える美嘉を怖がらせないように、そっと手を伸ばした。
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