狼少女と、溺愛男子



「.....................っ、ぅ、ばかぁっ!」



気づけば、涙が溢れて。



琉架くんの胸元をベシベシと叩いている私。



「...............ごめん、聖里。無理に誘って」



泣きながら、胸元を叩いているのに。



琉架くんは、
怒らずにギュッと私を抱きしめた。



琉架くんは昔から、いつもそうだ。



私が、泣いても、わめいても。



怒らずに、ギュッと抱きしめてくれる。



中学のとき、
琉架くんが原因で何度もイジメられたのに。



結局は、琉架くんの、
優しさとか、暖かさに助けられてばかり。



「.........っ、ぅ、やっぱり、イジメられるのが、
怖い、だけ、............っ、ぅ、それで、
『友達いらない』とか言っちゃうんだもん、」



琉架くんの腕の中で、
最初は誤魔化した言葉を言うと。


< 9 / 35 >

この作品をシェア

pagetop