野いちご学園 逆ハーアイドル寮


「できたんです……曲……今朝……」


「すごいじゃないですか。きっと素敵な曲に仕上がったんでしょうね。花園さんの作るメロディは、聞く人の心を温めることができますから」


「聞いてほしいんです……絢人先生に……」


「わかりました。今、稲森さんが来てくれていますので、用事を済ませたら声をかけますね。しばらく待っていてもらえますか?」


「……はい」



絢人先生は稲森さんがいる部屋の奥に向かおうと、体を反転させたけれど


「ねぇ、私にも聞かせてよ。花園さんが作った曲」


生物室の奥から稲森さんがやって来たため、足が止まってしまったようだ。



稲森さんは、色っぽく波打つ髪を指でこすりながら


「アイドル選手権はテレビでライブ放送するでしょ? パフォーマンス前に生徒がアイドルの紹介をするって聞いたの。その役を私がやりたいなぁって思って、絢人先生に相談していたところなんだ」


と、キリっとした美人顔で私に微笑みかけてきた。

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