野いちご学園 逆ハーアイドル寮
「ないるちゃん、ごねんね」
「ううん、私の方こそ強引に誘っちゃってごめんね。MCの練習もステージでの本番も頑張ってね。応援してるから」
「ありがとう、ないるちゃん」
壮行会の放送が入り、『体育館に行こうぜ』と教室を飛び出す生徒たち。
気づけば教室内がシーン。
私一人だけになっていた。
しゃべりの練習をするには贅沢すぎる空間だ。
声をだしても、誰にも迷惑がかからない。
今外に行っても、冷たい風が吹くバス停で数十分バスを待つことになる。
ちょっとだけ、教室で練習をしよう!
当日の雰囲気を少しでも味わいたくて、黒板前の一段高いスペースに登る。
先生が使う教卓の前に立ち、教室の机や椅子をお客さんだと思い込んでみた。
左手はマイクを持ったふり。
鼻から空気をたっぷり取り入れる。