クズとブスの恋愛事情。
時間は少し遡るが、二人の恋が実りプロポーズも受け入れられた時、風雷はこの機会を逃せばいつになるか分からないとばかりに手際よく役所に婚姻届を提出し

この日、風雷とハナは正真正銘の夫婦となった。


すぐさまの同居生活。


そして、次の日の朝から散々思い知らされる事になる風雷の激甘モード。

そこで驚いたのは風雷のハナの甘やかし方だ。

早朝、掃除洗濯、朝食作りの為に早起きした風雷は、横に眠るハナの頬にキスをすると小声で「おはよ」と声を掛け少しの間愛おしそうな顔で、大きな口を開け爆大ないびきをして大の字に寝るハナの寝顔を見るとソッとハナの頭を優しく撫でてから風雷の朝は始まった。

実はハナの頬に何かの感触を感じてから目が覚めていたハナは


…ドッキン、ドッキン、ドッキン!!


……おいおい!

昨日のエッチもそうだが、私をか弱いお姫様か何かと勘違いしてやしないか?

…いや、私のこの見た目で、それはないか

そ、それにしても、昨日は凄い体験をしちまったな

世の男や女は、あんな風に……

と、ハナは風雷との愛の営みを思い出し

あまりににも、隅々まで丁寧に壊れ物かというほど優しく儚くも可愛いお姫様に囁くように、甘々な愛の囁きや労りの言葉でハナは風雷に甘やかしに甘やかしまくられた。

快楽とはこういうものなのか…?それとも、風雷が上手すぎるのか?そこは判断付かないが…

そりゃ、あんな天にも昇るような気持ちいい事知っちまったら病みつきになっちまうな

なんつーの?熱に浮かされてなのか全身がトロけてんのに、熱く激しくて……上手く表現できないけど

まるで、もう抜け出せない麻薬のようなもんだ。麻薬なんざやった事もないが

そもそも、アレは絶対に手を出してはいけない

仕事場…過去にも、それでどれだけの人達の人生が壊れていくのを見た事か…

そりゃ、もう悲惨という他ない

と、麻薬中毒者達の姿を思い出し、身震いするハナだったが

直ぐに昨晩から今朝方の風雷の姿を思い出してしまい、狸寝入りしながら、風雷が軽くシャワーを浴び、掃除洗濯、料理にと勤しんでいる姿を眺めていた。


…き、綺麗過ぎる…!

こんな綺麗な男がこの世に存在するなんて…!!

毎日、見てるはずなのに

見れば見るほど、顔だけじゃない!頭のテッペンからつま先まで完璧なまでに綺麗なんだよ!!

こんな綺麗な男が、私の……夫?

それだけじゃない!12才にして聖騎士団副隊長にして、得S級魔道士だよ!?

世界一頭のいい大学、大学院も飛び級して主席で卒業…とんでもない天才じゃないかい!!


……そんな、とんでもないハイスペックな男と私が…結婚だと????


昨日感情が昂ぶって、そのままヤッちまったけど…まさかの朝までコース

挙げ句、防音バリアーを貼り忘れるほど必死になってくれたのは嬉しいし可愛い所もあるじゃないかとも思ったが、よっぽどアレの声がうるさかったんだろうな

まさか、自分がご近所さんから


“エッチの声と音がうるさいんですけど!
何人連れ込んでるのか知りませんけど、夕方から朝方まで!!もっと、静かにしてもらえませんか?”

なんて苦情が、数人から来るとは思ってもなかったな

しかも、何人も連れ込んでるって…いや、私と風雷の二人きりなんだけどね…

さすがの私も、恥ずかしくて居た堪れなかったよ

だけど、そんな苦情も風雷が対処してくれて
自分の責任だと丁寧に謝って、苦情にきたご近所さん達に説得納得までさせてメロメロにして帰してくれたから良かったけどな

メロメロにするってのは…私的には余計だが

風雷の美貌は、世界中どこ探したってこんな綺麗な男はいないだろうってくらいに綺麗だし色気も半端ないからなぁ。仕方ないっちゃ仕方ないか


そして、ご近所さん達を帰してから風雷は掃除に洗濯、朝食作りに勤しんでいる。

それをハナは布団の中で狸寝入りで見ている。

掃除や洗濯を終え、朝ごはんも終盤に差し掛かるとだし巻き卵のジュワ〜と焼ける心地いい音と美味しそうな匂いに、出汁の効いた薄味の味噌汁の匂い。玄米の炊ける食欲をそそる匂いに部屋中が包まれ

ハナのお腹は怪獣の如くお腹空いたよーと吠えていた。

その音が聞こえたのか、風雷はクスクス笑いながら


「ハ〜ナ。ご飯できたから食べて。…あ!その前にシャワー浴びないとね。」

と、ハナの額にキスをしてハナを起こしに来た。


…ドキドキドキ!

な…なんだ、この甘々な新婚みたいな…あっ!新婚だったわ!

ついでに言えば、昨日の夕方に結婚して初めての朝だわ!!


と、慣れない甘々ムードに、ハナは両手で真っ赤になり顔を隠し、しばらくの間嬉しさと恥ずかしさで布団の中で蹲ってゴロンゴロンしていた。

その様子をこっそり風雷に見られてるとは知らず。

そんなハナの様子に、風雷は「…俺の嫁、可愛すぎないか?」と、ずきゅ〜ん!と悶えていた。

そして、二人で迎える温かい朝食の幸せな事。

いや、ハナと風雷は仕事の関係上アパートが隣同士だし、風雷がハナの部屋に押しかけ女房してたのでハナの面倒は見てたし、朝昼晩のご飯も一緒に食べていたのだが。

なんだか、それとは全くの別物な雰囲気で朝食もいつもとは違った幸せな味がして、いつも食べ慣れてる筈の料理なのに


「…おいしい…」

思わず声が出てしまうほど、今まで食べた事がないくらいに美味しく感じた。

目をキラキラ輝かせ幸せそうにガツガツ食べるハナを見て、風雷は胸に何かがジ〜ンと熱く込み上げるものがあった。

自分の作った料理を美味しいと幸せそうに、朝から元気よく気持ちいいくらいに平らげていく妻を見て幸せだなぁ〜と感じていた。

普段はこんなにガサツなのに、昨日のハナは子猫のように可愛らしくもどこか儚げで弱々しくて…守ってあげたいという庇護欲を掻き立てられ…それはそれは男として燃え上がった。

ハナのそのギャップもまた、風雷によっては堪らないのだ。

風雷とハナの学校は逆方向なので、ハナにお弁当を渡して身支度を整えたら風雷はハナを自分に引き寄せギュッと抱き締めると、つま先立ちをして2M近くあるハナの分厚い唇にキスをした。

この唇の柔らかさも癖になる。あんまり長くキスをしているとキスだけでは終われなくなりそうなので軽くキスして

ハナの部位でトップ3に入るほどお気に入りなおっぱいに触れるのも我慢して


「…昨日、あまりにハナが可愛すぎて無茶させたね。
今日はあんまり体に負担掛けないように気をつけて?
いってらっしゃい。」

と、風雷は心配そうにハナに手を振り

「…き、気にすんな。私は頑丈だからね!それくらい、平気だよ。それよか、風雷の方こそ気ぃつけろよ?怪我してんだから、あんま夢中すんなよ。」

ハナが風雷をボコボコにした怪我の心配をしつつ、それぞれ学校へと向かったのだった。


< 48 / 99 >

この作品をシェア

pagetop