クズとブスの恋愛事情。
エバンの事をまるで自分の事のように考え涙するクリシュナを見て、感極まったクリシュナに抱き締められその温もりを感じながら
自分が元生まれ育った異世界の事を思い出していた。
…実は、その世界にクリシュナも存在していたのだ。
クリシュナは、本当に目立たなく影の薄い存在であったが、とても心優しく温かで頑張り屋さんでもあった。
その為、雷の国では珍しくバトルが苦手で、人が怪我をするのを見る事すら腰を抜かす程までに人が傷付く事も苦手な雷人であった。
なので、まわりからは“腰抜け”だの“腑抜け”だのと散々馬鹿にされて虐められていた時期もあったが、周りもクリシュナも成長する毎にみんなはクリシュナの人となりに惹かれ
“強さは、力や能力だけじゃない”
“ハートの強さこそ一番の強さなんじゃないか”
と、いう意見が出るくらいまで話が出るほどまでに、クリシュナの頑張りと優しさはみんなの
“強さこそ正義!強さこそ全てだ!”
と、いう考え方の中に“心”という分野も広げた人物でもあった気がする。
雷の国の国民性は大きく分けて、お調子者でノリの良い雷人と冷静沈着でクールな雷人と二分している傾向がある。
その中で、優しくて温かな雷人であるクリシュナは性格が国民性からズレていたので、よく周りから
“お前、本当に雷の国の雷人か?”
なんて、おちょくられたりもしていたが。
そんなクリシュナは彼に似合った幼稚園の先生であった。そこでクリシュナは幼稚園でエバンの担任の先生だったという事と、クリシュナの人となりと生徒へ思いやりや教育方針が素晴らしいと評価され有難くも雷帝とも何度か会談した事もあった。
雷帝も大層クリシュナを気に入り、教育方針や人とはどうあるべきかなどよく話し合う機会があった。
そして、その際にクリシュナは雷帝から
ライコの処罰の話とライコに洗脳され、性と赤ん坊に対しての命を何とも思えなくなってしまったエバンの話を聞き酷く心を痛め
“エバン君は、被害者じゃないか!?…けれど、多くの命を奪ってきた事。それに対して、何も罪の意識も感じていない所は本当に人道から外れた恐ろしい話でもあるのも事実。”
“…けれど、彼はまだまだ若い。洗脳を解くことは難しい事だけど決してできない事はない。
雷帝様、彼は罪人である前に被害者でもあります。
彼には命や幼い子供達は、我々大人が様々な災いや悪しき者達から全力で守ってあげなければならない脆くも尊い宝なのだと知ってほしい。
だから、お願いします。
雷帝様のご子息が成人して、雷帝様の後を継ぐその時まで時間をくれませんか?
雷帝様や周りの方々に大切に育てられるご子息の様子や日々の成長を見守っていくうちに、きっと彼の心も変わってくるはずです。
ですが、洗脳や生まれ育った環境周りの環境に感化され根付いてしまったものを変えるという事は並大抵な事ではありません。周りの人達の協力があり支え励まして支え続けなければならない根気のいる事だと考えています。
それまでに、彼の心が変わったなら…どうか、刑罰を軽くしてもらえませんでしょうか?
【異世界で、自分が殺したお腹の中の赤ちゃんの分だけ自分も同じ体験をする。
ようやく生まれてこれても、性の対象が赤ん坊や幼児という悍ましくも恐ろしい悪魔達の元で……考えただけで……お、オエェッッ!!
そこで死んだら、自分が殺した数だけ転生し生まれ何度も様々な形でその悪魔達の元へ行くように運命をつける。】
……確かに、彼女や彼らのした事は恐ろしく決して許される事ではありませんが、これはあまりに刑罰が重すぎませんか?”
と、エバンだけでなく面識のないライコの事まで考え、必死になって何度も雷帝を説得するが、雷帝は顔色一つ変える事なく
“当然の報いだ。奴らに合った刑罰と確信している。”
の、一点張りだった。
だが
“しかし、エバンに関してはお前の言う通り罪人であると共に被害者でもある事は確かだ。
雷呼の刑罰は変える事はない。が、エバンはお前の考えを採用する。我が息子が私の後を継ぐその時までに、エバンの洗脳を解き性や命の大切さについて教える役をお前に任せる。
しかし、罪人をここまで長く放置するのだ。もし、それまでにエバンの心が変わらなかった場合どう責任を取るつもりだ?”
と、表情一つ変えずクリシュナに雷帝は問うと
“もしも、それまでに彼の心が変わらなかった場合には、責任を持って僕も彼の追放される異世界へと行き彼と同じ罰を受けます。”
そう言い切ったクリシュナの覚悟に、さすがの雷帝も驚きの表情を見せた。
過去に幼稚園で面倒を見ていた児童だったとはいえ、エバンは成人したてとはいえ大人だ。そんな昔に、自分が受け持った児童だからと他人の為に、何故そこまでできるのかと。
…もしかしたら、クリシュナは女性だから
見目麗しいくも実力No.2、そして雷帝の右腕とまで言われる実力者のエバンに恋焦がれているから?
いや、それにしたって無理があるだろう。
何度かクリシュナという女と会って話をしているが…そうか。クリシュナは、目の前に直面した問題を放置できない性分だ。
例えどんな形であろうと関わった人には全力で応え、今現在関わっている相手が困っているならば自分ができる限り全身全霊で手を差し伸べ助けようとする。
それに、なんの見返りも求めない。感謝されたいとも思ってないように感じる。
求めるとしたら、自分が関わった人達が幸せに過ごせている事。
いつだったか、みんなが幸せに楽しそうにしている姿を見て、そこに自分も仲間入りさせてもらうのが凄く楽しいし嬉しいんだと言っていたな
そこで、とっても仲のいい家族や友達達と何気ない小さな幸せを感じられる事が、とても大切で幸せなんだとも
そんなクリシュナだからこそ、私はこの国から手放したくないのだが…
と、雷帝はクリシュナの揺らぐ事のない決心に負け
“そうか、お前の意思を尊重しよう。そして、ライコの被害者でもあるエバンが、ライコと同様の刑罰を与えられるのもおかしな話だと気付いた。
だから、エバンの刑罰を軽くする。
【もし、我が息子が雷帝を継ぐその時までに、エバン自身何を悪い事をしたのか、その罪の重さに気づいたならば
[異世界に飛ばす事なく、懲役500年としよう。]
もし、その時がきてもエバンの心や言動が変わらなかった場合には、
[エバンを異世界へと影響追放し
エバンがお腹の子供を殺した数だけ、何度も転生を繰り返し腹の中或いは赤子時に殺されるよう運命づける。
もちろん、今の記憶を残したままだ。大人の感情と頭脳のまま、その恐怖を味わう事となる。そして、その記憶も残したまままた転生を繰り返す。]
ただ、ライコの刑罰と違う所は
生まれたばかり、赤ん坊時、幼い幼児時に、人間の皮を被った赤ん坊や幼児が大好物の悍ましくも恐ろしい性愛者にいいようにされる運命をつける。
それも、自分が殺した数だけ何度も転生を繰り返し、その悪魔共の餌食になる。やはり、これも全ての記憶付きだ。
その刑罰を無くすという事だ。】
これはあくまで、クリシュナ。お前の言い分に大きく納得できたからだ。
そして、エバンを更生させる事に失敗したお前も責任をとり異世界への永久追放。そして、心から女性であり女性である事を喜ばしく思っているお前の性別変換をする。
力のないお前は、異世界へ飛ばされる時に衝撃でこの世界での記憶は全て飛ぶ。下手をしたら衝撃で体のどこか欠陥が出る恐れもあるが、それでもいいか?
お前の返答次第で、エバンの刑罰はまた変わる。”
と、雷帝はクリシュナをこの世界に留めておきたくて、わざとクリシュナの責任を重く言ったのだが…。
だけど、それでいいです。ここまで、して頂いて本当にありがとうございます。と、泣きながら、ありがたいと何度もお礼を言って深々と頭を下げてきた。
そうして、クリシュナのエバン更生計画が始まり、必死の思いでクリシュナは懸命にエバンに寄り添いエバンの言動を注意して必ずエッチするにも必ず厳重に避妊するよう指導した。
また、相手の女性のお腹に命が宿ったら必ず産ませるとまで言われては、さすがのエバンも避妊には厳重にならざる得なかったし
この世界とライコの飛ばされた異世界では、時の流れが違うので
何度も転生を繰り返しているライコの、腹の中或いは赤ん坊の時に虐待や医療、暴力などで無惨にもそこで命を落とし続ける姿をエバンは刑罰の一つとして全て見せられた。
こんな恐ろしい刑罰を自分も受けなければならないという恐怖でエバンは、必死になってクリシュナが一生懸命になって教えてくれてる事を理解しようと必死になっていた。
ライコが転生する度に、どんどん恐怖心は高まりますますクリシュナや周りの人達の話を聞く。
それでも、やっぱり理解できなくて…
何度か、分かったフリ反省したフリをしてあの恐ろしい刑罰から逃れようと必死になったのだが、その度に嘘か真か真実を告げる最高裁判所や警察署のある特殊な機械装置で直ぐに嘘がバレてしまった。
…もう、おしまいだと不安と恐怖でどうにかなってしまいそうで、周りに八つ当たりし始めた時もクリシュナはめげずにずっとずっとエバンに寄り添い続けた。
そのうち、ライコの一つ目の刑罰は終わり次は…世にも悍ましい残酷な拷問の始まりだ。
生まれたばかりのライコは、“そういう目的”で女を騙し結婚した男に犯され
一度の行為でアソコも内臓もグチャグチャに壊され続け、あまりの恐怖と内臓の全てがビリビリと裂かれ激痛と喉までくるそれで圧迫穴という穴から大量の出血をし出るもの全部出し、あまりの激痛にショック死してしまった。
それを父親は、上手く事故死に見せかけ
次の子が生まれた時の事を考えていた。こんなに脆いだなんて、次こそはもっと丁寧に扱おうとか色々…
それを見た時のエバンの恐怖といったらなかった。
そもそも、実物の赤ん坊や幼い幼児を性的に見るあたり気持ち悪いし、そんな悪魔を野放しにしてはいけない。
だけど、そんな悍ましくも気色悪い悪魔達は上手にその欲望を隠し犯行に至っている。
いい人や、ごく普通の人などに見えても、その人がどんな恐ろしい事を隠しているのか分からないのが恐ろしい。
だから、分からないからこんな気色悪く悍ましい残酷な事件はなくならない。
本当に、赤ん坊や幼い幼児達、児童、学生…他にも性被害にあわないよう何か手段はないのだろうか?未然に防ぐ事はできないのだろか?
だが、こんな大犯罪者は次に自分が生まれ変わる時、自分が犯した罪がその何100倍…♾️にもなって自分に返ってくる事だろう。
平然としてられるのも今のうちだ。
けれど、その間にも犠牲になる子達を思うとどうにかならないものかと考えてしまう。
ライコが様々な形で、幼い体で性的暴力を受け何度も転生している中で赤ん坊だったり幼児で妊娠…親はまさか赤ん坊や幼児が妊娠するとは思わないので
お腹が異常に膨れた時には手遅れで、お腹を切って赤ん坊を出産した事も何度もあった。
その中で赤ん坊の腹が膨れてるのに気付きマズイと思った母親の再婚相手は、焦りのあまりに赤ん坊のライコを何を思ったから“高い、たかーい!”
と、いい父親ぶった声で言いつつライコの体を激しく上下に振り続けた。
焦りのあまり、それで赤ん坊からライコのお腹の中の赤ん坊かもしれない命を股から落とせるとでも思ったのだろうか?
とにかく、苦しくも痛く気持ち悪過ぎて助けてと泣き叫ぶライコを無視して振り続けたら
気がつけば、赤ん坊はグッタリとしていて
後になって分かる事だが、赤ん坊の脳はグチャグチャに壊れていて髄液で目や鼻、耳、口あらゆる場所から透明なドロドロした液体が流れ出してき、首の骨、再婚相手が掴んでいた赤ん坊の脇バラの骨は砕け、両手足の関節が外れていたようだ。
いくら生理が無くても、赤ん坊の体には生理が来た子とは桁違いの卵を持っている。
そして、早熟な子も大きく誰もが見逃し分からない程度の生理がきてる赤ん坊も少なくないのだ。だから、いくら赤ん坊や幼児といえど新しい命を宿す事なんて珍しくない。
それさえも、喜ぶ手もつけられない頭のネジがぶっ飛んだ人間の皮を被った悪魔も存在するというのだから…絶句。
時には、ライコは1才くらいの時に盗まれ地下に監禁され、外の世界を知らないまま
悪魔の欲望の為だけに飼われ何度も何度も出産、流産を繰り返し…30代で性病や他の病気にもかかりもがき苦しみながらその生涯を閉じた事もあった。
本当にこんなにも様々なパターンがあるのかというほど、ライコは赤ん坊から幼児、児童と色々な恐怖の性体験をして何度目かの転生の時にはライコは精神を壊しおかしくなってしまった。
そして、親の手には負えない手がつけられないという事で養護施設に預けれても……
最後に、エバンがライコの刑罰を見た時のライコは…口を塞がれ腕や脚の根本から切られ、ただただ突っ込まれるだけの物にされて酷い虐待も受けボロボロのグチャグチャで散々な肉の塊だった。
それを最後に、期限までに更生できなかったエバンは刑罰を執行される事になり、最後にエバンの希望でクリシュナと話す機会を設けられ
クリシュナは、エバンを助けてあげられなかった事への謝罪をして大泣きしていた。
そんなクリシュナの姿を見て
ライコと出会う前に、この人と一緒に過ごしてたら何か変わってたかな?容姿は平凡で全然、性的には見れないけどな
これで容姿が良かったらなぁ〜
他の女達との関係全部切ってでも、クリシュナを嫁にしたいんだけどな〜
あ〜あ、クリシュナが美人だったらなぁ
なんて、余計な事も考えつつ覚悟を決めてクリシュナとお別れして、エバンと執行人二人きりになった時に
執行人は、
“最後に何か言いたい事はあるか?伝えたい相手はいるか?”
との質問に、クリシュナの顔が思い浮かんだが
自分が言った事で、クリシュナがそれをいつまでも引きずり、エバンに申し訳ないと後悔し続けそうだったので余計な事は言うまいと首を横に振った。
すると、執行人は
“それでは、クリシュナを慕う俺からお前を送り出す餞別にいい事を教えてやろう。”
そういうと
・エバンが、前雷帝の息子であるミキ皇子が、雷帝の跡を継ぎ雷帝就任式が終わるまでエバンの執行を伸ばす事を願い出たのがクリシュナだった事。
・エバンはまだまだ若く更生の余地がある事と、元を辿れば当時児童であった子供のエバンはライコに気に入られ唆され、ライコに洗脳された謂わば被害者でもある。
そこを考慮して刑罰を軽くしてほしい。
できるなら、ライコの刑罰もあまりに重過ぎるので考えてほしいと、毎日何度も何度も頭を下げ続けエバンの刑罰は大分軽くなった事。
・期限までにエバンが更生できなかった場合には、二人の刑を軽くしてほしいと願い出た張本人であるクリシュナに責任を取る形で、性別を変えられる上に異世界永久追放の罰が下される事になっていた。
だから、今エバンと同時に別の建物で刑罰が執行されてる筈だと、エバンが今の今まで全く知りえなかった話をしてきた。
…ドックン!!!
…そ、そんなっ!!?
“そして異世界へ転生した時、エバンが自分の罪が何なのかしっかり分かるようになって、幸せになる姿を見たいというクリシュナの強い希望から…クリシュナにはこの世界の記憶は無くなるが、雷帝の温情で必ず何かかしらの縁でお前達が知り合う道しるべをつけてくれたらしい話を聞いた。
もし、何かの縁でお前達が出会ったとしても、お前には全ての記憶が残るようにしてあるが
いくら、こちらでのクリシュナの事を知っていて、その時の話をしようとしても喋れないように呪いを掛けてある。以上だ。”
そう言って、エバンが何か言い掛けるもの無視して執行人は、異世界への扉を開きエバンを突き落としたのだった。
そこから、想像を絶する恐怖と激痛、親の感情や言葉、相手の言葉や雰囲気を腹の中から母親の目を通して見ながら
いつ殺されるのかという恐怖に毎日毎秒怯えながら、麻酔され自分の小さな体をハサミで切り刻まれ母体から掻き出され命を落としたり
交際相手に子供を堕す金がないと暴力を振るわれ、激痛と恐怖しながら流産という形で命を落とす
冷たい氷の入った浴槽の中で、凍え痛くて苦しくて心の中でもがきながら絶命
やっと、生まれてこられたと歓喜してたら、母親の彼氏に虐待され母親にまで虐待され生き地獄を味わいながら絶命
などなど、エバンが恋人やセフレ達のお腹に宿った命を奪っただけ、地獄の拷問は続いた。
自分でこんなにあるのに、ライコは自分より500才くらい年上だった筈だから…どれくらい…
自分は向こうの世界で、まだ26年しか生きてなかったからもう少しで刑が終わる。
だけど、ライコの場合…この刑が終われば、こんなのなんて比にならないくらいのとんでもない地獄の拷問な刑罰が待っていて…自分が知ってるだけでも、その刑は未だ執行中だった筈だ
…刑罰が終わったら、ライコはどんな風になっているんだろう?それより、いつまでライコの刑罰は続くんだろうか?…想像ができない。
永遠とも思える程、地獄の拷問を受け続けているライコを思うととても複雑な気持ちになる。
自分は、5回で刑は終わった。
つまりエバンは、雷の国でお腹の中に宿る命を5人殺したという事になる。
クリシュナが居なければ、もっともっと刑の数は増えていただろう。その当時は、クリシュナが避妊にうるさいから、ウザくて邪険にして酷い罵声も浴びさせていた。
だが、自分の刑罰の決定内容を聞いて
更には、刑罰の一つだとライコの刑罰執行する度にその様子を強制的に刑罰執行人に見せられた。その恐怖から、素直にクリシュナの話を聞くようになったのだが。
クリシュナには、いくら返しても返せない程の恩がある。
5回もあんな目に遭ってれば、いくら大昔にライコの感覚に感化されようと……強制的に分からせられた。
一回目の時には、もう…。
もう二度と、幼い命を軽んじません!
お腹の中に命が宿った時点で、もう命でありれっきとした感情や気持ちのある一人の人間がそこにいるって分かりました!
だから、許してください
殺さないで下さい!!
助けて!!!
と、エバンは何度命乞いをし助けを求めた事か…
それでも無情にも、お腹の中にいる時や生まれたばかりの時に様々な冷酷、残酷にも自分はあっけなく殺され続けたのだ。
二度目にお腹の中に居た時は、最初から自分の運命がわかっていたので怖くて怖くて…不安とが混じり合い、自分を殺そうとする母親だったり父親だったり彼氏だったりを恨んで恨んで呪ってやったが。
いつ自分がどんな風に殺されるかという恐怖と不安の中で、エバンの頭に浮かんでくるのはクリシュナだった。
心を落ち着かせたいと考えた時、いつも自然とクリシュナの事を思い出していた。クリシュナと一緒にいた時、色々な事があった。
それでも、いつでもどこでもクリシュナは、エバンを見捨てる事も呆れる事もせずエバンが更生する事を決して諦めなかった。
エバンは自分のしている何が何処が悪いのか、いくら説明された所で児童の頃からライコに教わり根付いた感覚や性に対する良し悪しはクリシュナ達の説明を受けても全然分からなかった。
令状が出てからエバンはいきなり罪人扱いされ罪に問われた。
それの何処が悪い?
何で自分が罪人にならなきゃいけないんだ?
…分からない、本当に理解できない…
俺は、絶対に間違ってないし罪人なんかじゃない!!
こんなの納得できない
何度、そうやって講義して訴えたか分からない。
しかし、何度講義しても罪状は覆る事はなく、心療内科やカウンセラーの話も出てきていた。
俺は全然におかしくないから、そんな頭おかしい奴らと一緒にするな!と、カウンセリングや精神科医の診療は断固として受けなかった。
しかし、その態度がよくなかった。罪状も含めて手に付けれられない悪とみなされ罪が大分重くなったようだった。
そして、刑罰内容を聞き青ざめた。
自分がその良し悪しを理解できるかどうかで、刑罰が軽くなるかどうかも決まるという。
そこで紹介されたのが、薄っすら遠い記憶にある幼稚園の先生だったクリシュナだった。
そこから、クリシュナの奮闘が始まる。クリシュナは何事も一生懸命だった。めげる事も泣き言一つ言わず
エバンがライコの感覚をリスペクトして、クリシュナの言葉に何一つ耳を傾ける事をしなくても酷い八つ当たりをして突っぱねても決して諦めなかった。
そのうち、エバンはクリシュナと一緒に居る事がとても心地よく感じてきた。クリシュナは必要以上にエバンに命や性に対する意識を諭してくる事はなく、たわいもない何でもないような普通の会話を好んでいた。
クリシュナがもっと好んでいたのが、相手が楽しい興味がある話を聞く事だった様に思う。人が楽しそうに嬉しそうに目をキラキラさせて話して聞かせてくれる事がとても嬉しいのだと言っていた。
エバンはそんなクリシュナに自然と
ああ、いいなぁ
ずっと側に居たいなぁ
この人と一緒に居るだけで、こんなにも穏やかで癒される
大好きだなぁ…
と、思った所でハッとする
いやいや!あり得ねー!
クリシュナは、全然美人なんかじゃないし中の下…良くても中の中レベルだろ
そんな女とヤるなんて考えただけでキモ過ぎてゲロ吐くって!
なんて、クリシュナの容姿で判断して自分の気持ちに蓋をし続けたんだっけなぁ
刑罰執行中のエバンは、今やクリシュナの事を考える事だけが心の癒しでありエバンの心を支え続けていた。
その内に気がついてしまった。
自分はクリシュナと一緒の居るうちに
いつの間にかエバン心の大部分をクリシュナが占め、誰よりも大切だと感じるようになっていた。
その当時は、気が付かないフリをしていたが
今現在、こんな状況にまで追い詰められて、やっと認める事ができた。
それが恋だったという事に。
だけど、こんな状況でここまで追い込まれてから、それを認める事ができた所で…もう、遅いが…
今の自分は、クリシュナだけ特別に容姿関係なくとてもとても大好きで、クリシュナの事を考えるだけでこの不安な気持ちと恐怖を和らげる事ができた。
刑罰を終えたら、絶対にクリシュナを見つけ出して結婚して幸せな家庭を作るんだ。
そんな妄想をして夢見て、決意を強く固め希望と意識を強く持つことでエバンはこの恐ろしい拷問を受け続け刑罰を終え今に至っている。
刑期を終えた瞬間に驚く事にエバンは、封印されていた筈の自分の力や能力、姿形まで戻っていた。そこで、自分の脳内に当時の雷帝の声が響いてきた。
自分が元生まれ育った異世界の事を思い出していた。
…実は、その世界にクリシュナも存在していたのだ。
クリシュナは、本当に目立たなく影の薄い存在であったが、とても心優しく温かで頑張り屋さんでもあった。
その為、雷の国では珍しくバトルが苦手で、人が怪我をするのを見る事すら腰を抜かす程までに人が傷付く事も苦手な雷人であった。
なので、まわりからは“腰抜け”だの“腑抜け”だのと散々馬鹿にされて虐められていた時期もあったが、周りもクリシュナも成長する毎にみんなはクリシュナの人となりに惹かれ
“強さは、力や能力だけじゃない”
“ハートの強さこそ一番の強さなんじゃないか”
と、いう意見が出るくらいまで話が出るほどまでに、クリシュナの頑張りと優しさはみんなの
“強さこそ正義!強さこそ全てだ!”
と、いう考え方の中に“心”という分野も広げた人物でもあった気がする。
雷の国の国民性は大きく分けて、お調子者でノリの良い雷人と冷静沈着でクールな雷人と二分している傾向がある。
その中で、優しくて温かな雷人であるクリシュナは性格が国民性からズレていたので、よく周りから
“お前、本当に雷の国の雷人か?”
なんて、おちょくられたりもしていたが。
そんなクリシュナは彼に似合った幼稚園の先生であった。そこでクリシュナは幼稚園でエバンの担任の先生だったという事と、クリシュナの人となりと生徒へ思いやりや教育方針が素晴らしいと評価され有難くも雷帝とも何度か会談した事もあった。
雷帝も大層クリシュナを気に入り、教育方針や人とはどうあるべきかなどよく話し合う機会があった。
そして、その際にクリシュナは雷帝から
ライコの処罰の話とライコに洗脳され、性と赤ん坊に対しての命を何とも思えなくなってしまったエバンの話を聞き酷く心を痛め
“エバン君は、被害者じゃないか!?…けれど、多くの命を奪ってきた事。それに対して、何も罪の意識も感じていない所は本当に人道から外れた恐ろしい話でもあるのも事実。”
“…けれど、彼はまだまだ若い。洗脳を解くことは難しい事だけど決してできない事はない。
雷帝様、彼は罪人である前に被害者でもあります。
彼には命や幼い子供達は、我々大人が様々な災いや悪しき者達から全力で守ってあげなければならない脆くも尊い宝なのだと知ってほしい。
だから、お願いします。
雷帝様のご子息が成人して、雷帝様の後を継ぐその時まで時間をくれませんか?
雷帝様や周りの方々に大切に育てられるご子息の様子や日々の成長を見守っていくうちに、きっと彼の心も変わってくるはずです。
ですが、洗脳や生まれ育った環境周りの環境に感化され根付いてしまったものを変えるという事は並大抵な事ではありません。周りの人達の協力があり支え励まして支え続けなければならない根気のいる事だと考えています。
それまでに、彼の心が変わったなら…どうか、刑罰を軽くしてもらえませんでしょうか?
【異世界で、自分が殺したお腹の中の赤ちゃんの分だけ自分も同じ体験をする。
ようやく生まれてこれても、性の対象が赤ん坊や幼児という悍ましくも恐ろしい悪魔達の元で……考えただけで……お、オエェッッ!!
そこで死んだら、自分が殺した数だけ転生し生まれ何度も様々な形でその悪魔達の元へ行くように運命をつける。】
……確かに、彼女や彼らのした事は恐ろしく決して許される事ではありませんが、これはあまりに刑罰が重すぎませんか?”
と、エバンだけでなく面識のないライコの事まで考え、必死になって何度も雷帝を説得するが、雷帝は顔色一つ変える事なく
“当然の報いだ。奴らに合った刑罰と確信している。”
の、一点張りだった。
だが
“しかし、エバンに関してはお前の言う通り罪人であると共に被害者でもある事は確かだ。
雷呼の刑罰は変える事はない。が、エバンはお前の考えを採用する。我が息子が私の後を継ぐその時までに、エバンの洗脳を解き性や命の大切さについて教える役をお前に任せる。
しかし、罪人をここまで長く放置するのだ。もし、それまでにエバンの心が変わらなかった場合どう責任を取るつもりだ?”
と、表情一つ変えずクリシュナに雷帝は問うと
“もしも、それまでに彼の心が変わらなかった場合には、責任を持って僕も彼の追放される異世界へと行き彼と同じ罰を受けます。”
そう言い切ったクリシュナの覚悟に、さすがの雷帝も驚きの表情を見せた。
過去に幼稚園で面倒を見ていた児童だったとはいえ、エバンは成人したてとはいえ大人だ。そんな昔に、自分が受け持った児童だからと他人の為に、何故そこまでできるのかと。
…もしかしたら、クリシュナは女性だから
見目麗しいくも実力No.2、そして雷帝の右腕とまで言われる実力者のエバンに恋焦がれているから?
いや、それにしたって無理があるだろう。
何度かクリシュナという女と会って話をしているが…そうか。クリシュナは、目の前に直面した問題を放置できない性分だ。
例えどんな形であろうと関わった人には全力で応え、今現在関わっている相手が困っているならば自分ができる限り全身全霊で手を差し伸べ助けようとする。
それに、なんの見返りも求めない。感謝されたいとも思ってないように感じる。
求めるとしたら、自分が関わった人達が幸せに過ごせている事。
いつだったか、みんなが幸せに楽しそうにしている姿を見て、そこに自分も仲間入りさせてもらうのが凄く楽しいし嬉しいんだと言っていたな
そこで、とっても仲のいい家族や友達達と何気ない小さな幸せを感じられる事が、とても大切で幸せなんだとも
そんなクリシュナだからこそ、私はこの国から手放したくないのだが…
と、雷帝はクリシュナの揺らぐ事のない決心に負け
“そうか、お前の意思を尊重しよう。そして、ライコの被害者でもあるエバンが、ライコと同様の刑罰を与えられるのもおかしな話だと気付いた。
だから、エバンの刑罰を軽くする。
【もし、我が息子が雷帝を継ぐその時までに、エバン自身何を悪い事をしたのか、その罪の重さに気づいたならば
[異世界に飛ばす事なく、懲役500年としよう。]
もし、その時がきてもエバンの心や言動が変わらなかった場合には、
[エバンを異世界へと影響追放し
エバンがお腹の子供を殺した数だけ、何度も転生を繰り返し腹の中或いは赤子時に殺されるよう運命づける。
もちろん、今の記憶を残したままだ。大人の感情と頭脳のまま、その恐怖を味わう事となる。そして、その記憶も残したまままた転生を繰り返す。]
ただ、ライコの刑罰と違う所は
生まれたばかり、赤ん坊時、幼い幼児時に、人間の皮を被った赤ん坊や幼児が大好物の悍ましくも恐ろしい性愛者にいいようにされる運命をつける。
それも、自分が殺した数だけ何度も転生を繰り返し、その悪魔共の餌食になる。やはり、これも全ての記憶付きだ。
その刑罰を無くすという事だ。】
これはあくまで、クリシュナ。お前の言い分に大きく納得できたからだ。
そして、エバンを更生させる事に失敗したお前も責任をとり異世界への永久追放。そして、心から女性であり女性である事を喜ばしく思っているお前の性別変換をする。
力のないお前は、異世界へ飛ばされる時に衝撃でこの世界での記憶は全て飛ぶ。下手をしたら衝撃で体のどこか欠陥が出る恐れもあるが、それでもいいか?
お前の返答次第で、エバンの刑罰はまた変わる。”
と、雷帝はクリシュナをこの世界に留めておきたくて、わざとクリシュナの責任を重く言ったのだが…。
だけど、それでいいです。ここまで、して頂いて本当にありがとうございます。と、泣きながら、ありがたいと何度もお礼を言って深々と頭を下げてきた。
そうして、クリシュナのエバン更生計画が始まり、必死の思いでクリシュナは懸命にエバンに寄り添いエバンの言動を注意して必ずエッチするにも必ず厳重に避妊するよう指導した。
また、相手の女性のお腹に命が宿ったら必ず産ませるとまで言われては、さすがのエバンも避妊には厳重にならざる得なかったし
この世界とライコの飛ばされた異世界では、時の流れが違うので
何度も転生を繰り返しているライコの、腹の中或いは赤ん坊の時に虐待や医療、暴力などで無惨にもそこで命を落とし続ける姿をエバンは刑罰の一つとして全て見せられた。
こんな恐ろしい刑罰を自分も受けなければならないという恐怖でエバンは、必死になってクリシュナが一生懸命になって教えてくれてる事を理解しようと必死になっていた。
ライコが転生する度に、どんどん恐怖心は高まりますますクリシュナや周りの人達の話を聞く。
それでも、やっぱり理解できなくて…
何度か、分かったフリ反省したフリをしてあの恐ろしい刑罰から逃れようと必死になったのだが、その度に嘘か真か真実を告げる最高裁判所や警察署のある特殊な機械装置で直ぐに嘘がバレてしまった。
…もう、おしまいだと不安と恐怖でどうにかなってしまいそうで、周りに八つ当たりし始めた時もクリシュナはめげずにずっとずっとエバンに寄り添い続けた。
そのうち、ライコの一つ目の刑罰は終わり次は…世にも悍ましい残酷な拷問の始まりだ。
生まれたばかりのライコは、“そういう目的”で女を騙し結婚した男に犯され
一度の行為でアソコも内臓もグチャグチャに壊され続け、あまりの恐怖と内臓の全てがビリビリと裂かれ激痛と喉までくるそれで圧迫穴という穴から大量の出血をし出るもの全部出し、あまりの激痛にショック死してしまった。
それを父親は、上手く事故死に見せかけ
次の子が生まれた時の事を考えていた。こんなに脆いだなんて、次こそはもっと丁寧に扱おうとか色々…
それを見た時のエバンの恐怖といったらなかった。
そもそも、実物の赤ん坊や幼い幼児を性的に見るあたり気持ち悪いし、そんな悪魔を野放しにしてはいけない。
だけど、そんな悍ましくも気色悪い悪魔達は上手にその欲望を隠し犯行に至っている。
いい人や、ごく普通の人などに見えても、その人がどんな恐ろしい事を隠しているのか分からないのが恐ろしい。
だから、分からないからこんな気色悪く悍ましい残酷な事件はなくならない。
本当に、赤ん坊や幼い幼児達、児童、学生…他にも性被害にあわないよう何か手段はないのだろうか?未然に防ぐ事はできないのだろか?
だが、こんな大犯罪者は次に自分が生まれ変わる時、自分が犯した罪がその何100倍…♾️にもなって自分に返ってくる事だろう。
平然としてられるのも今のうちだ。
けれど、その間にも犠牲になる子達を思うとどうにかならないものかと考えてしまう。
ライコが様々な形で、幼い体で性的暴力を受け何度も転生している中で赤ん坊だったり幼児で妊娠…親はまさか赤ん坊や幼児が妊娠するとは思わないので
お腹が異常に膨れた時には手遅れで、お腹を切って赤ん坊を出産した事も何度もあった。
その中で赤ん坊の腹が膨れてるのに気付きマズイと思った母親の再婚相手は、焦りのあまりに赤ん坊のライコを何を思ったから“高い、たかーい!”
と、いい父親ぶった声で言いつつライコの体を激しく上下に振り続けた。
焦りのあまり、それで赤ん坊からライコのお腹の中の赤ん坊かもしれない命を股から落とせるとでも思ったのだろうか?
とにかく、苦しくも痛く気持ち悪過ぎて助けてと泣き叫ぶライコを無視して振り続けたら
気がつけば、赤ん坊はグッタリとしていて
後になって分かる事だが、赤ん坊の脳はグチャグチャに壊れていて髄液で目や鼻、耳、口あらゆる場所から透明なドロドロした液体が流れ出してき、首の骨、再婚相手が掴んでいた赤ん坊の脇バラの骨は砕け、両手足の関節が外れていたようだ。
いくら生理が無くても、赤ん坊の体には生理が来た子とは桁違いの卵を持っている。
そして、早熟な子も大きく誰もが見逃し分からない程度の生理がきてる赤ん坊も少なくないのだ。だから、いくら赤ん坊や幼児といえど新しい命を宿す事なんて珍しくない。
それさえも、喜ぶ手もつけられない頭のネジがぶっ飛んだ人間の皮を被った悪魔も存在するというのだから…絶句。
時には、ライコは1才くらいの時に盗まれ地下に監禁され、外の世界を知らないまま
悪魔の欲望の為だけに飼われ何度も何度も出産、流産を繰り返し…30代で性病や他の病気にもかかりもがき苦しみながらその生涯を閉じた事もあった。
本当にこんなにも様々なパターンがあるのかというほど、ライコは赤ん坊から幼児、児童と色々な恐怖の性体験をして何度目かの転生の時にはライコは精神を壊しおかしくなってしまった。
そして、親の手には負えない手がつけられないという事で養護施設に預けれても……
最後に、エバンがライコの刑罰を見た時のライコは…口を塞がれ腕や脚の根本から切られ、ただただ突っ込まれるだけの物にされて酷い虐待も受けボロボロのグチャグチャで散々な肉の塊だった。
それを最後に、期限までに更生できなかったエバンは刑罰を執行される事になり、最後にエバンの希望でクリシュナと話す機会を設けられ
クリシュナは、エバンを助けてあげられなかった事への謝罪をして大泣きしていた。
そんなクリシュナの姿を見て
ライコと出会う前に、この人と一緒に過ごしてたら何か変わってたかな?容姿は平凡で全然、性的には見れないけどな
これで容姿が良かったらなぁ〜
他の女達との関係全部切ってでも、クリシュナを嫁にしたいんだけどな〜
あ〜あ、クリシュナが美人だったらなぁ
なんて、余計な事も考えつつ覚悟を決めてクリシュナとお別れして、エバンと執行人二人きりになった時に
執行人は、
“最後に何か言いたい事はあるか?伝えたい相手はいるか?”
との質問に、クリシュナの顔が思い浮かんだが
自分が言った事で、クリシュナがそれをいつまでも引きずり、エバンに申し訳ないと後悔し続けそうだったので余計な事は言うまいと首を横に振った。
すると、執行人は
“それでは、クリシュナを慕う俺からお前を送り出す餞別にいい事を教えてやろう。”
そういうと
・エバンが、前雷帝の息子であるミキ皇子が、雷帝の跡を継ぎ雷帝就任式が終わるまでエバンの執行を伸ばす事を願い出たのがクリシュナだった事。
・エバンはまだまだ若く更生の余地がある事と、元を辿れば当時児童であった子供のエバンはライコに気に入られ唆され、ライコに洗脳された謂わば被害者でもある。
そこを考慮して刑罰を軽くしてほしい。
できるなら、ライコの刑罰もあまりに重過ぎるので考えてほしいと、毎日何度も何度も頭を下げ続けエバンの刑罰は大分軽くなった事。
・期限までにエバンが更生できなかった場合には、二人の刑を軽くしてほしいと願い出た張本人であるクリシュナに責任を取る形で、性別を変えられる上に異世界永久追放の罰が下される事になっていた。
だから、今エバンと同時に別の建物で刑罰が執行されてる筈だと、エバンが今の今まで全く知りえなかった話をしてきた。
…ドックン!!!
…そ、そんなっ!!?
“そして異世界へ転生した時、エバンが自分の罪が何なのかしっかり分かるようになって、幸せになる姿を見たいというクリシュナの強い希望から…クリシュナにはこの世界の記憶は無くなるが、雷帝の温情で必ず何かかしらの縁でお前達が知り合う道しるべをつけてくれたらしい話を聞いた。
もし、何かの縁でお前達が出会ったとしても、お前には全ての記憶が残るようにしてあるが
いくら、こちらでのクリシュナの事を知っていて、その時の話をしようとしても喋れないように呪いを掛けてある。以上だ。”
そう言って、エバンが何か言い掛けるもの無視して執行人は、異世界への扉を開きエバンを突き落としたのだった。
そこから、想像を絶する恐怖と激痛、親の感情や言葉、相手の言葉や雰囲気を腹の中から母親の目を通して見ながら
いつ殺されるのかという恐怖に毎日毎秒怯えながら、麻酔され自分の小さな体をハサミで切り刻まれ母体から掻き出され命を落としたり
交際相手に子供を堕す金がないと暴力を振るわれ、激痛と恐怖しながら流産という形で命を落とす
冷たい氷の入った浴槽の中で、凍え痛くて苦しくて心の中でもがきながら絶命
やっと、生まれてこられたと歓喜してたら、母親の彼氏に虐待され母親にまで虐待され生き地獄を味わいながら絶命
などなど、エバンが恋人やセフレ達のお腹に宿った命を奪っただけ、地獄の拷問は続いた。
自分でこんなにあるのに、ライコは自分より500才くらい年上だった筈だから…どれくらい…
自分は向こうの世界で、まだ26年しか生きてなかったからもう少しで刑が終わる。
だけど、ライコの場合…この刑が終われば、こんなのなんて比にならないくらいのとんでもない地獄の拷問な刑罰が待っていて…自分が知ってるだけでも、その刑は未だ執行中だった筈だ
…刑罰が終わったら、ライコはどんな風になっているんだろう?それより、いつまでライコの刑罰は続くんだろうか?…想像ができない。
永遠とも思える程、地獄の拷問を受け続けているライコを思うととても複雑な気持ちになる。
自分は、5回で刑は終わった。
つまりエバンは、雷の国でお腹の中に宿る命を5人殺したという事になる。
クリシュナが居なければ、もっともっと刑の数は増えていただろう。その当時は、クリシュナが避妊にうるさいから、ウザくて邪険にして酷い罵声も浴びさせていた。
だが、自分の刑罰の決定内容を聞いて
更には、刑罰の一つだとライコの刑罰執行する度にその様子を強制的に刑罰執行人に見せられた。その恐怖から、素直にクリシュナの話を聞くようになったのだが。
クリシュナには、いくら返しても返せない程の恩がある。
5回もあんな目に遭ってれば、いくら大昔にライコの感覚に感化されようと……強制的に分からせられた。
一回目の時には、もう…。
もう二度と、幼い命を軽んじません!
お腹の中に命が宿った時点で、もう命でありれっきとした感情や気持ちのある一人の人間がそこにいるって分かりました!
だから、許してください
殺さないで下さい!!
助けて!!!
と、エバンは何度命乞いをし助けを求めた事か…
それでも無情にも、お腹の中にいる時や生まれたばかりの時に様々な冷酷、残酷にも自分はあっけなく殺され続けたのだ。
二度目にお腹の中に居た時は、最初から自分の運命がわかっていたので怖くて怖くて…不安とが混じり合い、自分を殺そうとする母親だったり父親だったり彼氏だったりを恨んで恨んで呪ってやったが。
いつ自分がどんな風に殺されるかという恐怖と不安の中で、エバンの頭に浮かんでくるのはクリシュナだった。
心を落ち着かせたいと考えた時、いつも自然とクリシュナの事を思い出していた。クリシュナと一緒にいた時、色々な事があった。
それでも、いつでもどこでもクリシュナは、エバンを見捨てる事も呆れる事もせずエバンが更生する事を決して諦めなかった。
エバンは自分のしている何が何処が悪いのか、いくら説明された所で児童の頃からライコに教わり根付いた感覚や性に対する良し悪しはクリシュナ達の説明を受けても全然分からなかった。
令状が出てからエバンはいきなり罪人扱いされ罪に問われた。
それの何処が悪い?
何で自分が罪人にならなきゃいけないんだ?
…分からない、本当に理解できない…
俺は、絶対に間違ってないし罪人なんかじゃない!!
こんなの納得できない
何度、そうやって講義して訴えたか分からない。
しかし、何度講義しても罪状は覆る事はなく、心療内科やカウンセラーの話も出てきていた。
俺は全然におかしくないから、そんな頭おかしい奴らと一緒にするな!と、カウンセリングや精神科医の診療は断固として受けなかった。
しかし、その態度がよくなかった。罪状も含めて手に付けれられない悪とみなされ罪が大分重くなったようだった。
そして、刑罰内容を聞き青ざめた。
自分がその良し悪しを理解できるかどうかで、刑罰が軽くなるかどうかも決まるという。
そこで紹介されたのが、薄っすら遠い記憶にある幼稚園の先生だったクリシュナだった。
そこから、クリシュナの奮闘が始まる。クリシュナは何事も一生懸命だった。めげる事も泣き言一つ言わず
エバンがライコの感覚をリスペクトして、クリシュナの言葉に何一つ耳を傾ける事をしなくても酷い八つ当たりをして突っぱねても決して諦めなかった。
そのうち、エバンはクリシュナと一緒に居る事がとても心地よく感じてきた。クリシュナは必要以上にエバンに命や性に対する意識を諭してくる事はなく、たわいもない何でもないような普通の会話を好んでいた。
クリシュナがもっと好んでいたのが、相手が楽しい興味がある話を聞く事だった様に思う。人が楽しそうに嬉しそうに目をキラキラさせて話して聞かせてくれる事がとても嬉しいのだと言っていた。
エバンはそんなクリシュナに自然と
ああ、いいなぁ
ずっと側に居たいなぁ
この人と一緒に居るだけで、こんなにも穏やかで癒される
大好きだなぁ…
と、思った所でハッとする
いやいや!あり得ねー!
クリシュナは、全然美人なんかじゃないし中の下…良くても中の中レベルだろ
そんな女とヤるなんて考えただけでキモ過ぎてゲロ吐くって!
なんて、クリシュナの容姿で判断して自分の気持ちに蓋をし続けたんだっけなぁ
刑罰執行中のエバンは、今やクリシュナの事を考える事だけが心の癒しでありエバンの心を支え続けていた。
その内に気がついてしまった。
自分はクリシュナと一緒の居るうちに
いつの間にかエバン心の大部分をクリシュナが占め、誰よりも大切だと感じるようになっていた。
その当時は、気が付かないフリをしていたが
今現在、こんな状況にまで追い詰められて、やっと認める事ができた。
それが恋だったという事に。
だけど、こんな状況でここまで追い込まれてから、それを認める事ができた所で…もう、遅いが…
今の自分は、クリシュナだけ特別に容姿関係なくとてもとても大好きで、クリシュナの事を考えるだけでこの不安な気持ちと恐怖を和らげる事ができた。
刑罰を終えたら、絶対にクリシュナを見つけ出して結婚して幸せな家庭を作るんだ。
そんな妄想をして夢見て、決意を強く固め希望と意識を強く持つことでエバンはこの恐ろしい拷問を受け続け刑罰を終え今に至っている。
刑期を終えた瞬間に驚く事にエバンは、封印されていた筈の自分の力や能力、姿形まで戻っていた。そこで、自分の脳内に当時の雷帝の声が響いてきた。