クズとブスの恋愛事情。

ビックリのビックリは他にも!


【朱雀院 風雷(すざくいん ふうらい)】だよ!

オレ達と同い年の外国人。

まさか帝王様の実兄をお父さんに持つ海外の女王様の息子。つまり、海外の皇太子だよね。

とんでもない血筋でビックリしちゃう。

桔梗の存在同様に、容姿から能力、力、頭脳までも異次元級。

桔梗と風雷見ちゃうと、色んな自信やらプライドがポキポキ折れちゃって何やっても無意味に思えちゃうから

二人は自分達とは全く別の異次元生物だから、気にしちゃいけないって思わないとやってられないよね〜。


は、いいんだけど?


ビックリなのが、フウライはショウちゃんのいとこだって事。

聞けば、ショウちゃんには他に年の近いいとこ達(王族)に

風雷(ふうらい)、大樹(たいじゅ)、大地(だいや)、虹(こう)、蒼(そう)、陽光(ようこう)、彩雲(さいうん)とか…

28人くらいいるらしい。

全員、帝王様の兄弟やいとこの子供達。

帝王の血を引く特別な王族の中でも、
朱雀院 風雷の地位は別格中の別格だけど。


って、事は……うん。

どうして、ショウちゃんはここまで厳重に守られているのか納得するしかないよね。


つまり、そういう事。


ショウちゃんは、帝王様の一人娘で何処にも公表されてない帝王様の隠し子。

実は帝王様の次に、地位が高い存在って事になるんだけど…。

帝王様は、ショウちゃんを王族や上流階級のドロドロした醜い争い事に巻き込みたくない。

極々一般的な平穏な生活を送ってほしい、何不自由なく幸せに暮らしてほしい。って、願いから

ショウちゃんは

“ちょっとお金持ちな一般人”

って、教え込まれて育ってるみたい。


本当は、帝王様の一人娘。皇女様なんだけど。宝来家の中では知らぬは、本人だけってね。

…全然、ちょっとなんかじゃない特別も特別。宇宙一大切にされてる宝のように超絶厳重に大事にされてるんだけど。

それが当たり前に育ってきてるショウちゃんは、それがどれだけ凄い事なのか特別なのか…分かるはずないんだよねぇ〜。

それに自分の実のお父さんとお母さんが、まさかの帝王様と妃様だなんて夢にも思わないんだろうなぁ。

なにせ、二人は自分達の職業を“世界を旅する商人”だって、ショウちゃんに教えちゃってるくらいだから。

世界中を旅してるから、滅多にお家に帰って来れない。

だからショウが寂しくないように、いつでも誰かかしら必ず家にいるように

“ショウの為に、育ての親を5人用意する”

って、話になって今がある。


……って、確かに帝王様とそのお妃様ともなれば、多忙が過ぎて自分の子供と触れ合う時間がないのかもしれないけど

…う〜ん…

同じ子供目線で、ショウちゃんの気持ち考えると複雑な気持ち。

赤ちゃんの頃から、実の親に甘える事ができないなんて…

オレも逆行前は親の愛情なんて知らず育ったから何となく…気持ち分かるかも…

逆行した今のオレは、現在のお父さん、お母さんに愛情たっぷりに育ててもらってるから信じられないくらいに幸せいっぱいだけどさ。


帝王様夫婦は多忙過ぎて、自分の一人娘の面倒が見れない。

だから、可哀想な娘に自分達の親代わり

“里親5人を用意する”

って、その里親に選ばれた人達も、物か使い駒みたいに言ってる感じあるよね。

ショウちゃんはもちろん、その人達の人権どうなってるの?って、感じ。


結果的にだけど


ショウちゃんの人柄か

里親であるショウちゃんのパパ、ママ達が、特別に母性や父性愛がメチャクチャ強い人達

な、だけか分からないけど。

上手くいってるから良かったとは思うよね。

帝王様の人選選びに抜かりはないって感じ?そこは、さすが帝王様って感じなのかなぁ?


けど、稀に帰ってくる帝王様とお妃様だけどさ。

二人は、帰って来る度にショウちゃんを大切にしてる事は分かるけど。

ショウちゃんも二人が帰って来る度に心から喜んでるの分かるけど。

…けど、血を分けた親子でも子供と一緒に居てあげられない親よりも

ずっとショウちゃんと一緒に居て、一緒に泣いたり笑ったり怒ったり。時には、思いっきり感情をぶつけ合ったりして、家族・親子としての時間を大切に色んな経験や体験をして

愛情たっぷりに育ててくれる血の繋がりのない親を本当の親だと思っても仕方ないよね。


だって、ショウちゃんさ。

稀に帰って来る実の両親に緊張しちゃって、どこかよそよそしいから。
まるで、大好きないとこの叔父さん、叔母さんが自分の家に遊びに来た時の子供の反応にとてもよく似てる。

とっても仲が良くて懐いてくれてるのに、どちらか分からない…もしかしたら両方とも。どこか、お互いに壁か距離があるように感じる。


そんな様子見ちゃうと

…な〜んか、複雑になっちゃうよね。


そんなこんな色々複雑な事も多々ある宝来家だけど。癖の強い人達も多いけど、とってもいい家族達なんだよね。

ちなみに、帝王城の超お偉いさんや王族達もショウちゃんが“帝王の一人娘”だって事は、その中でも極々限られた厳選に選ばれに選ばれた人達しか知らないらしいよ。

家族の中でも、祖父母や父母は自分の兄弟達が知らなくてもその中で一人だけ知らされる子供も少なくないらしい。
だけど、親や兄弟、親友であっても、この秘密は絶対に言ってはいけないと絶対厳守。

知ってるのに、仲のいい友達や家族にさえ言えないってもどかしいよね。

その事実を教えられたって事は、かなりの信頼や有望視されてる人達って事だろうけど。

誇らしいやら、大きな責任を背負う重圧やら色々、抱える事がたくさんあるんだろうなぁ。


って、オレも“宝来家の一員”って、事でこの事実を知ってる訳だけどさ。宝来家みんな知ってる事(ショウ以外)だから、オレは気が楽だけどね。


それはそうと!



いよいよ、3人揃っての幼稚園の入園式〜〜〜!



そこで、ミキは驚きと喜びで胸がはち切れんばかりに飛び跳ねた。


キャーーーーーー!!!!!


ひ、ひーちゃんがいるぅーーーーー!!!!??


ひーちゃんが、ぷくぷくまん丸くてちっちゃくて可愛すぎなんだけどぉ〜!

もう、キュンキュンが止まらないんだけどぉ〜!!


だが、ここで楽しい幼稚園生活を邪魔する存在も目に入ってげんなりしてしまった。


そう!それは、キキョウに一目惚れして別荘に押し掛けてきた絶世の美幼女、フジの姿が見えたのだ。

後で知った事だが、フジは元々別の超ウルトラ難関幼稚園に合格しており、そこへ入園する予定だったが

桔梗を追いかけて、フジお得意の超我が儘を発動させ周りの大人達を困らせ暴れた挙句、仕方なく桔梗の入園する幼稚園を調べ同じ幼稚園に入園してきたという。

なんたる執念だろうか。

単純に怖い。だけど、キキョウにはそれだけの国どころか世界を傾ける程の美貌と幼児ながら、どこから出てくるのか恐ろしい程の妖艶さを持ち合わせているのでフジならずとも崇拝するほど夢中になって当然っちゃ当然であった。

しかも、今現在のキキョウの姿は“美貌を抑える不細工になる魔具”を、装備してのこの美貌なのだ。

桔梗の本来の美貌を目にしたら、みんなどうなってしまうんだろうとその事実を知る数少ない一人であるミキは、苦笑いするしかなかった。

その超強力な魔具は、朱雀院 風雷も装備しているとキキョウから聞いた事がある。

美貌もそこまでいけば、ただただ恐ろしいなと思うミキである。

そして、周りの子達と肌の色が違うという事でいじめられないよう、“肌の色を変える魔具”を装備してる為。ミキの薄紫の肌は小麦色の肌に変身している。

両腕や背中、胸、両腿に付いてるタトゥーのような稲妻模様と、目の瞳孔の稲妻模様。髪や目の色までは変えられなかったが、色んな特徴のある子達の多いこの世界ではそこは気にならないであろう。

ただ肌の色は、濃い薄いの微妙な違いはあるが白、黒、肌色のみなので“紫色”となると病気持ちだと思われイジメられる可能性が大いにあった。

その事で、生まれたばかりのミキを鷹司家では亡き者にしようとしていたくらいだから。


そうして、始まった波乱の幼稚園時代。

フジや周りの子達のせいで、ヒマリは“ミキとは釣り合いから別れる”なんて大泣きされて何回、それを宥め落ち着かせた事か。

そして、家の事情とフジを中心とした集団でヒマリは精神的に追い込まれ、めっきり自分に自信を失い根暗になっていった。

ヒマリがどんどん、自分の殻に閉じこもってしまう過程を見て酷く心を痛めたミキは、自分もどうにかヒマリを助けたいとショウと一緒に自分達のできる精一杯を頑張り続けた。

その甲斐あって、ヒマリは不登校なくミキとショウがいつからと踏ん張って幼稚園に通う事ができた。…家にも居たくないので。

〜そして、小学校へ入学する時〜

ヒマリは、ショウと同じ学校へ行きたいけどキキョウも一緒だと絶対にフジも同じ学校へ行くはず。

だから凄く寂しいけど、フジにイジメられたくないので別の学校に行く事にしたらしい。だから、ミキは当然ヒマリと同じ学校へ入学したのだった。


そこで、驚いたのが

何故かショウ達と同じ小学校に、フウライが留学してきたという事。

そして、いつまでも見向きもされないキキョウから、フジはフウライに乗り換えた事。

だが、実はフウライには既に心に決めた女の子がいる事など聞いたミキは、面白い事になってるなと大笑いしていた。

だが、小学校二年生に進級する辺り


何と、キキョウとフウライは揃って飛び級で、世界一頭の良い大学に合格して海外留学する事になったらしい。

ショウは、キキョウと同じ別荘に暮らし、大学の敷地内にキキョウと一緒ならという条件付きで特別に入る許可を得、キキョウが大学の勉強をしてる隣で極々一般の普通の小学校通信教育を受けるっぽい。

分からなくても、隣にいるキキョウが自分の授業そっちのけでショウに小学校二年生の勉強を教えてあげていたらしい。

それでも、追いつかない時は別荘に帰ってからも教えてくれた。…なのに、桔梗は首席で大学卒業。そして、世界一頭のいい大学院へ飛び級の首席卒業。
フウライもキキョウ同様に、キキョウと同じ大学・大学院でも専攻学部や科が違ったので飛び級、首席卒業していた。

どうなってるんだ、キキョウとフウライの頭脳は!?実は、大学も大学院も入学しなくても卒業試験だけ受けて卒業できてたんじゃないのか?という、疑問も浮かぶ。

しかし、フウライの事は置いといて。

キキョウの海外留学の話はキキョウのある目論みがある事を思い出し、ミキは遠い目をしてその話を思い出していた。

大学や大学院卒業は何かと役に立つし、そこでしか得られない特別な資格も受けられる。特別な資格をたくさん持っていると色々有利だし便利だろう。

それらを取得する目的の他に、ショウと海外旅行気分を楽しみたいって理由から留学した可能性が非常に高いとミキはにらんでいる。…と、いうより聞いていたから。

親達には将来の事とかいい話ばかりしていたが、ぶっちゃけるとショウにベッタリなパパ・ママ達からショウを引き剥がし、口うるさい両親から暫くの間離れ

ショウを独占して、誰にも邪魔されない時間で思う存分ラブラブしたいって結構な頻度で口に出してたから。

留学の話はいいとして、絶対にショウも連れて行くと駄々を捏ねるキキョウを見ていてミキは確信していたし

キキョウの両親やショウのパパ・ママ達もキキョウの留学したい本当の理由丸わかりだったので、とても呆れ果てていたが

大学や大学院、それも世界一の設備と学者が集まっていると名高い世界一難関にして難題な試験をトップで合格しちゃったものだから、これは通わせないと勿体無いし貴重な体験ができる。

それに、キキョウの無限にある可能性や視野を広げたい、色んな国の天才達と触れ人間として成長してほしいという願いもあり渋々キキョウの留学は許されたのだった。

残念ながら、キキョウがいるならショウの安全安心に暮らせる。それに、海外へ行き貴重な体験もできるだろう。

…問題は、まだまだ親に甘えたい時期である事。

なので、宝来家にいた時同様に、ショウのパパ・ママ達の誰か一人はキキョウ達の留学先の別荘にお泊まりする事になった。

“それじゃ、場所が変わっただけでいつもと変わんねーじゃねーか!”

“うちの無限大に可愛い娘と二人きりにさせらんないじゃん!絶対、無理!
それに、うちショウ様と離れるなんて絶対有り得ないから!
あと、定期的にキキョウの両親や兄弟達もキキョウの様子見に来るらしいよぉ〜。”

“そんなん、聞いてねーぞ!!”

“キャハッ!ザマーミロ!”

“…テメー、このクソギャルがぁ〜〜〜!”

と、これは、一部の口喧嘩を抜粋した会話だが。こんな風に、キキョウとショウのパパ・ママ達の口喧嘩は留学してからも暫く続いたようだが。


そして、大学・大学院と卒業したキキョウとフウライは、同年代の同級生達との交流がないという事と中学・高校ならではの貴重な体験があるとして

社会勉強の為と同年代の友達と青春を謳歌させたいという理由から

ショウが入学する中学校へ、社会勉強の為にキキョウとフウライも一緒に入る事になった。

…いや、そんな理由が無くてもショウが中学校に入学するのなら同じ中学校へキキョウもくっ付いて行く事は分かりきっていた事だが。


そこを考えると、この星で最高峰の大学・大学院とキキョウに見合っただけの学校を卒業させておいて良かったと心の底から安堵する宝来家のみなさんだった。

だって、あの留学がなかったらキキョウは絶対にショウに合わせた学校にしか行かず、宝の持ち腐れで勿体無い学校歴になっていたから。

クソな理由でも、世界のトップ大学・大学院と卒業させておいて良かった。…しかも、取れるだけの資格全部取得してきやがったのも

そこまでできてしまうのかとムカつきはするが、それ以上にやっぱりキキョウは凄いし良かったとも強く思う。



〜そうして、始まった中学校生活〜


留学中も毎日のように、連絡を取り合ってたショウとヒマリ。おまけのミキ。

そこで、そろそろ母国へ帰りそこで中学校に入学するという話になり

ショウとヒマリは色々話し合い、同じ中学校に入学するという事になったのだ。もちろん、キキョウとミキ付きだ。

そこに、キキョウと親友の一人となったフウライも天才や一流ばかりでなく、極々普通の人達と学校生活を体験する貴重な時間だという話に乗りキキョウにくっ付いて同じ中学校へと入学したのだった。

それに、そうすれば“フウライの恋するあの子”の気持ちも少しは理解できるかもしれないという可愛い理由もあったりする。


だが、ここにきて大きな誤算があった。

それは、やっぱりというか…


常盤 フジ!


何処から嗅ぎつけてきたのか、キキョウとフウライがこの中学校に入学する事を知り二人を追いかけ入学してきたフジがいたのだ。

入学式でフジを見つけフジがこちらに気付きくっ付いてきた事で、みんなゲンナリしていた。

まさか、中学校でも一緒になるなんて前途多難だと。


入学式が終わり

優秀なAクラスにキキョウ、フウライ、フジ、ミキ。

落ちこぼれのFクラスにショウとヒマリがクラス分けされた。

なので、休み時間さっそくショウ達のいるクラスへ行くと、如何にも格闘技で強いですって感じのスポーツマン女子

西園寺 結(さいおんじ ゆい)

が、ショウとヒマリと友達になっていて紹介もされた。

逆行前に、軍学生の時長期訓練や合宿で結構話した事あるからミキは知っている。

正義感が強くて、元気いっぱいのとっても優しい良い子だって事。

まさか、結と友達になれた事も誤算だったが、かなり嬉しい誤算だ。


これから始まる中学生活が楽しみで仕方ない。
< 87 / 99 >

この作品をシェア

pagetop