クズとブスの恋愛事情。
またもや、大きく話は脱線してしまったが…。

元の話に戻ろう。


ミキにエスコートされ陽毬は、ドッキドッキのバックンバクンに緊張しながら会場へ入った。

もちろん話が脱線する前に言ったように二人は、色んな意味で周りに大注目されていた。


今回が社交デビューなのか、今まで見た事のない令息が今予約が取れない程の超一流人気デザイナーが手掛けた

“王族服”を身にまとい

身に付けているアクセサリーや小物類どれ一つにかけても、トレンドを外さず流行りを取り入れつつの超一級品ばかり。

それだけでない。かなり遊んでるだろうが、今まで見た事もないような美貌が目をひく。

ファッション自体はシックにまとめられているが、この美貌の令息の雰囲気や顔立ちが派手なせいか

どんなに紳士的で立ち振る舞いが素晴らしくても、どうも胡散臭くやっぱり派手に遊んでいる遊び人にしか見えない。


そんなミキの登場で、会場中が一気に色めき立ち淑女として失格かもしれないが、ミキのあまりの美貌に我慢しきれず小さな黄色い声がキャーキャーとたくさん聞こえてきた。


そして、そんな彼にエスコートされていれる羨ましいご令嬢は……


とても太った分厚い眼鏡を掛けた超貧乏男爵令嬢、みんなの笑い者

財前 陽毬

だ。眼鏡が曇り、眼鏡を外したが素顔も残念であった。

そんなデブス眼鏡は、何がどうなってそうなったのか?

ミキ同様に、予約が取れないで有名な今一番人気のデザイナーが手掛けた最新モデルのドレス。そして、超一級品の超人気最新の小物類まで身に付けている。

二人ともお揃いのコーデである。

その事に、信じられないとばかりに会場中が二人の登場に驚きを隠せずざわついている。


それからミキは誰も二人の中に入る余地がないよう、陽毬の事をガッチリエスコートしていたつもりだったが(がっちり、陽毬の腰を抱きはぐれないようにしている)。


…だが…


そんな空気なんて読んでられるか!
なにせ、今まで見てきたイケメン達が霞んで見えるくらいの綺麗系ワイルドイケメンが会場内にいるのだ。

しかも、今まで顔出しこそしてこなかったみたいだが、王族しか着る事を許されない王族服を着ている。それに、王族の中でも上位である証のバッジまでつけている。


それに容姿がとてもチャラチャラしてるから、どんなに紳士を装っても無駄だ。君は、相当の遊び人なんでしょ?

こんなとんでもない家柄の令息を逃してたまるか!両親の事や仕事、財産などありとあらゆる情報を聞き出さねば!

相当、遊んでるチャランポラな問題児だろうから、少しお立てるだけで何でもかんでも喋る馬鹿に違いない。

そこから様々な情報を聞き出し、コイツを使って良いように使おう。王族のしかも、上位クラスってだけでも親交を深めるだけでも有益な話だ。こんな美味しい話はない。


など、様々な思惑がありミキはあっという間に大勢の人達に囲まれるのだった。


だが、逆行前に大樹の影として動いてきたミキだ。裏の仕事をして汚いものを見聞きし、自分もそれらに手を染めて生き抜いてきたのだ。

その経験もあり元々、人の思惑や駆け引き、我田引水など人の裏を読み取る事に長けているミキだ。精神年齢だけなら30才。

こんな輩に囲われたところで、それらを上手く出し抜く自信しかない。

ミキという男は逆行前の地獄のような特殊訓練潜り抜けてきた猛者だ。馬鹿と本物と区別くらいできない訳もないのだ。

だから、彼らの話を上手く掻い潜り挙げ句は、逆に彼らの情報を引き出し有益な情報をたくさんゲットしていた。

(今のミキに必要か必要ないか分からないが、知ってるに越した事はないだろうと思って、一応引き出しておいた。)

そしてミキの懐っこさと、どんな話にもついていける知識と情報量。
個人の性格など瞬時に把握して、個人に合わせた話し方をするなどトーク力が半端ない。

何より凄いのが“太郎”を名乗り、自分の素性を一切明かさなかった事だろう。

色んな質問責めも、のらりくらり避けて逆に相手の情報を引き出し出してしまうのだから。とんだ、曲者である。

ミキの見た目や言動に騙されず、ミキの凄さに気付けた者はこの会場に一体どれくらいいただろうか?

そして何より、ミキと話していてとても気分が良くなる。テンション高く楽しめるのだ。

いるだけで、周りを明るく照らし楽しませられる存在はとても貴重だ。

ここで、ミキの周りに集まった大勢の老若男女の心を鷲掴みだ。

この会場にいる切れ者達は、是非ともきっと一対一で話しもっとミキという人間を知りたいと思ったに違いない。


そんなミキの様子に陽毬は、超陽キャの凄さを目の当たりにして眩し過ぎて目が眩みそうになっていた。


…うぅっ!

あまりにカッコ良すぎて

ま、眩しすぎますぞ!

…せ、せっしゃの彼氏殿が凄すぎる!


それも凄いが、ミキと一緒にいる陽毬を

(周りからは、陽毬がミキから引っ付いて離れない様に見える。
二人への偏見から都合のいい脳内変換してそう見えてしまう。そう思い込まなければ、ミキを独占する陽毬というクソみたいな存在に納得できないのだ。)

だからミキを助けるべく、陽毬というお邪魔虫をミキから引き剥がそうと陰で様々動いていたが

それを逆行前の大樹の影としての経験や厳しい軍事練習もあったが、それ以上に厳しい宝来家の様々に置いての訓練のおかげか

(幼い頃から桔梗と一緒に訓練させられている。

小学校に入学してからは留学してきた風雷も一緒になり、三人で訓練させられている。現在も進行中。

ぶっちゃけ、大事な事だって分かりつつもめちゃくちゃサボりたい!)

ミキが、それらの影の攻撃を上手くいなし陽毬は何の害も受けずミキと引き剥がされずいられた。

その間も、僅かな隙に陽毬に疲れてないか、抜け出そうか?など、陽毬の安否を聞き確認しつつ


そのうち、ダンスの時間になりミキと陽毬はようやく大勢の人達から解放され、二人でダンスを楽しむことができた。

超運動オンチ、リズム感も皆無、歌もオンチな陽毬だから

ミキに大いに迷惑をかけるだろうと会場に来る前から何回もダンスを断っていたのだが

ミキは、めちゃくちゃ笑顔で


「任せて!」

の一点張りで、渋々嫌々ながらダンスする事を承諾して踊ってる訳なのだが…!

会場も驚くほどに、美丈夫で年齢の割に身長の高いミキのダイナミックかつ大胆なダンスは目を惹き

社交ダンスで超有名人な大樹にも引けを取らないほど、とても上手かった。


なので、それを見ていた大地(ダイヤ)が、ミキの素晴らしいダンスに驚き隣に居る大樹に


「…アイツ、すっげ〜!めちゃくちゃダンス上手いけど、社交ダンスの大会とか出たりしてんのかな?大樹、アイツの事知ってる?」

と、聞いてきた。


「……いや、初めて見る顔だよ。ダンスも圧巻だ。ここまでレベルが高いダンスであれば、世界大会に出場していてもおかしくないレベルだ。
失礼だけど彼のダンスの邪魔でしかない陽毬令嬢を抱えて、あんなに踊れるなんて驚くしかないな。」

ダンスに絶対の自信にあった大樹は、自国の同年代では自分のダンスに適う人などいないと過信していたので

ミキのダンスにとても嫉妬して思わず、歯の奥をギリっと噛んでしまった。


一曲目のダンスが終わると、さっそくミキ目当てのご令嬢達が割れ先にと血走った顔でミキを囲っていた。

それを見て周りの男性陣は、女という生物に少し恐怖したし多くの女性陣に囲まれているミキにとても嫉妬して

ミキのチャラい見た目で、様々な妄想を働かせミキの悪口を言いたい放題言っていた。

だが、もちろんミキは王族らしいので、不敬罪になるのを恐れて聞こえないようにヒソヒソとだ。


だけど、ミキは

大勢のご令嬢達の気分を悪くさせない話術で、あれだけいたご令嬢達の気分を高揚させつつ散らしたのである。

これって、とんでもない才能と技術だ。

それから、ミキはダンスを踊ってゼーゼー肩で息をしている陽毬を椅子に座らせると、大量に吹き出す陽毬の汗を拭くのを手伝っていた。

この巨漢で一曲ダンスを踊りきったのだ。相当、体に負担が掛かっている事だろう。

そう思ったミキは、ボーイに水を貰えるよう頼み疲れてヒーヒー言ってる陽毬に恵の水を差し出した。

それを一気に飲み干してしまった陽毬は、飲み終えてからハッとした


…あ…

マズイ!社交の場で、こんな…はしたない!周りの目が怖すぎるであります。

と、恐れていたのだが

それを見通して、ミキは自分の体を壁にし陽毬の水を一気飲みを見事に隠してくれていたのである。


遠くから、その様子を見ていた大樹達は、ミキの機転の速さに酷く驚かされた。

見た目が見た目だけに、こんな繊細な事にまで気がついてパートナーの事を気遣えるなんてと。


それに、なんと言っても今日、陽毬を虐めのターゲットにしようと目論んでいた大樹とその悪いお友達達は

ミキの登場で、その計画が全て台無しになってしまった事にかなり腹を立てていた。


何が、どうなってるんだ?

意味が分からない!


ミキと陽毬に対し、怒りが込み上げる大樹に側に居たウダツは言った。


「“太郎君”の事は、とてもよく知ってるでヤスよ。」

その発言に、大樹や大地、真白までもが驚いていた。思わず、ウダツを見た3人にウダツは苦笑いしながら


「太郎君は、“永遠とも言える長い苦悩と戦い続けて、苦しみの末にようやく殻を打ち破って【今】を勝ち取った素晴らしい人でヤス。」

何か分からない事を口にしていた。

そんなウダツの言葉に、大樹と大地は顔を見合わせ首を傾げる中

「恐らく自分達では考えられないくらいの様々体験や経験があってこその、あの圧巻のダンス。
……その前に、様々な悪に満ちた溢れた思惑も混じるこの社交の場に置いて初めて社交界に来たにも関わらず、あの通り誰も彼を出し抜く事ができなかった。」


…ドックン!

確かに。

あれは、ちょっとやそっとではできない。相当な場数と知識、話術や推察力がなければできない事。

…だけど、それを見抜き大樹達にミキについて話しているウダツもかなりの洞察力があるように思う。


「それどころか、彼が周りの人達を出し抜き様々な情報を得たでヤス。とんでもない才能でヤスね。」


そして、何故だろう?

大地と同い年で、大樹より二つ年下な筈のウダツが時折、とても大人びて見える事がある。

それこそ、既に色んな体験や経験をして様々な修羅場の場数を踏んできたような。自分達より、大分年上の大人なのではないのだろうかと見えてしまうのだ。

だからなのか。そこにウダツの人間性も加わり、ウダツの言葉はすんなりと自分達の心に入り素直に頷く事ができるから不思議だ。


それに、何だろう?

ウダツは何か“特別なオーラを纏っている特別な魂の持ち主”だと、大地はウダツと出会った頃から感じている。

一緒にいて、とても心いいオーラだ。

大樹はウダツのオーラや魂をどの様に感じているのか不明だが

二人の幼馴染みである真白嬢と似た気質のある大樹は

全て低スペックなウダツの事が可哀想だから、一緒に居てあげてるとマウントを取っているのが見え見えで大地は、実は内心では大樹のそんな所に腹が立っている。

それに、ウダツの家族は出来が悪いウダツの事をすこぶる邪険にし虐めてばかりいた。

そして、遂にその姿さえ見たくないとウダツが幼いにも関わらず無理矢理にこの国に強制的に留学させた。

その事情を知った大地の家族は、ウダツの家族に酷く憤慨し抗議に行ったが話に通じる相手ではなく

あくまでも、ウダツの素行が悪いので社会勉強の為だと言い張り、自分達の言ってる事は全て正しく正義であると良い人ぶっていた。

それに腹が立った大地の家族は、メイドの一人も付けてもらえず

まだ、小学校にも入学してない幼い幼児を適当なボロアパートへ放り込まれ一人暮らす羽目になったウダツに酷く同情し

ウダツを引き取る事はできないが

大地一家の直ぐ側にある、使用人やメイド達の寮にある部屋をウダツに貸して

信用できる使用人を一週間交代で、ウダツの面倒を見るように手配したのだった。


恐らく、あのまま幼い幼児一人が何もないボロアパートに居たところで何もできず飢えと不衛生で病気になり、或いは人攫いや悪い大人たちの餌食になり…この世から消えていた事だろう。

赤の他人である自分達でさえそこまで想像できるのに、血を分けた家族がそこまで考えられないはずがない。

…きっと、恐らく…そういう事なのだろう。

それを考えれば考えるほど、ウダツの家族をどうにかしてやりたい気持ちになる。

だが、そこは抑えて

他人であるが、縁があって知り合った小さな幼児。見捨てるなどできなかった。

そこで考えたのが、このやり方であった。

その趣旨をウダツの家族に伝え許可を得れば、ウダツ一家は

「それで恩を売るつもり?なら、やめて。何の見返りもなく、うちに一切関わらないのであればウダツの事は好きにしていい。」

なんて、ギッタギタに殴り倒したくなる様な上から目線で最低な事を言ってきたのだ。

だから、なおさら

この一家には関わってはいけない。ウダツを関わらせてはいけない。と、様々な法的手段を使い鷹司 大地の父親は、ウダツの保護者になる事を決意したのだった。

なので、その時からウダツは使用人・メイド寮ではなく、鷹司家に一緒に住む事になったのだ。

だから、ウダツは大地の家族とは家族同然、大地とは兄弟のように育ってきたのだった。

ウダツの人なりに、大地の家族もウダツの事が大好きになり本当の息子のように思って育てている。

だから、ウダツと一緒に住むようになり1年も経たないうちに、ウダツを自分達の養子にして法律上でも本当の家族になろうとまで考えた程だ。

だが、ウダツのあの家族の事を考えれば、何かにつけウダツの事を引き出しに
様々な無茶難題な要求をされてくるのが目に見える。

それに負ける気はしないが

その事で、誰よりも正義感・責任感も強く心優しいウダツが、気に病んでしまうかもしれないと恐れ

そこまで踏み切れずいる。


同時に、もう一つ大きな理由がありウダツを自分達の養子にできないのだ。


そんな事情があり、大地一家の所でお世話になってるという事を固く口止めされてるウダツと大地は

その事をもどかしく思いつつも、事情が事情なだけに既にバレバレであったが宝来家にだけは報告。

そこで、何故かウダツに関して宝来家から手厚く大きな援助を受けている。

理由は、これまた何故か分からないが


【朱雀院 風雷】が、どうしてもウダツを助けたいと願い出たという話からだった。

そして、ウダツと同い年の幼い風雷は言った。


「ウダツ……さんとは、どうしても会えない事情があります。ですが、自分は近く自国からこの国に移住して国籍も得る事になっています。そして、早くに自立し独立します。」

…やっぱり、いくら“天才”と言われてても幼児は幼児だな。

そんなに簡単に、自立や独立は無理なんだよ。

自分が天才だからと奢って調子に乗っているだろうし、幼児ならではの可愛い夢があるのだな。…可愛い夢とは言いがたい大人顔負けな夢だが。

と、大地一家は、わざわざこの話の為にしっかりアポをとりスケジュール合わせをしたのち

自ら直接大地一家を訪ねて来てきた小さな幼児に感心したし、可愛らしくも思えた。

しかし、内容はこの通りで


「その際、ウダツ……さんは自分の戸籍に入れ家族、兄弟とします。これは絶対です。ですが、自分が自立し独立するまでの間、どうしてもウダツを育ててくれる家族が必要です。
自分の勝手な我が儘ですが、その時までどうぞウダツをよろしくお願いします。」

と、相手は幼児であるが、自分達よりずっと格上が頭を下げてきたのだ。

どんな理由があるか分からない。
正直こんな理想ばかり語る“天才”と名高い彼も、幼い子供なのだなと少し可愛くも思える。

きっと、何処からかウダツの可哀想ななり立ちを聞きつけ、そんな風に申し出たにかもしれない。

だから、この時大地の祖父母、両親は子供の可愛い戯言と受け取り将来無くなる話であろう、風雷の用意した書類に軽い気持ちでサインをした。

しかし、不思議な話だ。

風雷とウダツは、話した事も会った事さえないはずなのに。どうしてか、ウダツとは別の国生まれだというのに風雷の方は、ウダツの事をとてもよく知っているようだ。

もちろんだがウダツが大地の家に家族同然に暮らし育ててもらっているという事実は、宝来家以外どこの誰にも公言していない秘密だ。

そんな事情から、とても仲のいい兄弟同然のウダツと大地だ。

幼い頃、よく大地はどうしてウダツを養子にしないのか。ウダツと本当の兄弟になりたいと駄々を捏ねて大変な時が時たまやってくる。

それで、家族は少々困り嘘は言わない程度に、ウダツを養子にできない理由を話し無理矢理に大地を説得するのだった。

でも、やっぱり本当の兄弟の様に育ってきたウダツと過ごすうちに大地は、ウダツの不思議に色々触れる事となる。

そして、ウダツから信じがたい話まで聞き、多分多くの人達が知らないもの凄い話まで知っている。とても、人には言えない事まで。

だから、ウダツから内緒だよと言われ聞いているから大地は知っている。


例えば、自分の隣にいる大樹が自分の家族の汚い部分を見て恐怖してから人間不信になり、表裏の激しい人間になってしまった事。

裏では、悪さや酷い虐めをしていて女性関係が激しい事。

そして、悪い友達と悪巧みをして、今回の虐めのターゲットに財前 陽毬が選ばれていた事。

だが、これはミキの登場によりやむ得なく阻止されそうだ。

大樹にくっ付きそうなくらいの距離で隣にいる真白は

大の男好き。しかも、奥さんの居る既婚者や彼女持ちの男が大好物らしい。

妻や恋人が居ながら自分に夢中になる男に優越感と、悪い事と分かりつつバレないように不倫や浮気をする背徳感やスリルがたまらなく好き。

あと、バレないように巧妙に練る計画とまんまと騙される周りの滑稽さを嘲笑うのが大好き。

と、いう…とんでもない趣味の持ち主だという事。

本当、ろくでもないな。自分だけでなく多くの人達を不幸にするだけの愚か過ぎる趣味だ。

だけど、そんな彼女と知りつつ関係を持っている奴らも、同じ穴の狢なんだろうけど…その奥さんや恋人、家族達が気の毒で仕方ない。


大樹も真白嬢も表向きは、優等生の鏡で周りからの評判はすこぶる良く信頼もされてるから、アイツらの裏の顔を知ってる自分はなんとも言えない複雑な気持ちだ。

だけど、自分には関係ない話だからお口チャックだけどな。

しかも、大樹と真白は両思いときたもんだ。似た物同士お似合いだと思うけど、なんで付き合わないんだろうと思ってたら、これまた笑える話が理由でお互いにモダモダしてるんだと。


なんと、まあ…

ウダツが真白の事を好きだと勘違いしてる二人が

大樹は、大親友のウダツが好きな人を好きになっちゃいけない!だから、自分は身を引く。

真白はウダツをいいスパイスにして、大樹をどう攻略して自分の物にするか打診中。

彼らの動きを見て、それに合わせて

二人の幼なじみに恋愛対象として見られ本当は大樹が好きなのに

大切な幼なじみであるウダツの気持ちも裏切れない!と、いう悲劇のヒロインを演じて大樹の心をグッと掴んでいる。

…二人でウダツを使って、悲劇のヒーロー・ヒロイン気分に酔いしれてる感じだろうな。


ウダツは事あるごとに

「二人は自分にとって大切な友達でヤスよ。それに、自分には好きな人がいるでヤスから、その人に誤解されたくないでヤス。」

と、やんわりと真白は恋愛対象ではない。大切な友達だと伝えてるのに、どうしても愛のスパイスが欲しい大樹と真白は

“ウダツが、真白の事を好きだと思いたい。”

ようだ。ウダツが言った言葉も、二人の中で脳内変換され

本当は真白の事が好きなくせに、ウダツと真白があまりに釣り合ってないからそうやって自分を誤魔化すしかない。

と、勘違いも甚だしい話に拗れてる感じらしい。

どうも、二人の中で高嶺の花のような真白をウダツが好きにならない訳がないと、勝手に決め付け断言しているようなのだ。


本当、めちゃくちゃ腹が立つ話だよな。

ウダツの好きな人を知ってる俺としては尚更。

…だけど、ウダツが好きな人…

…う〜ん…

やめておいた方がいいと思うなぁ。

ウダツには幸せになってほしいからさ。あの人は、絶対ダメだろ…性格も周りからの評判もクソミソに悪すぎる。

それこそ、カッコいいウダツには似合わないって思うんだけどなぁ。

ウダツには天使のような女性と結婚してほしい願望あるんだよな。ウダツには心から幸せになってほしいから。

と、ウダツの幸せを心から願う大地だ。と、同時に恋愛より友達と遊んだり魔道や格闘技の方が断然好きな大地は、周りの人達がな恋に夢中になるのかイマイチ理解できずにいた。


みんなが憧れたり夢中になる“恋”って、なんなんだろうなぁ〜?何がいいのかサッパリ分かんないや。

そんな事より、みんなと一緒に遊んでる方が何万倍も楽しくない?


と、ミキ程ではないが、ピンクとライトブルーのメッシュの入った髪に、黒目部分の色も上はブルー下はピンク。

アクセサリーこそ最小限しか身に付けていないが、髪型も編み込みの三つ編みをしていて見た目が派手な大地だ。

だが、ピンクやライトブルーのメッシュは地毛だし、ミキとは違い一見チャラそうに見えるが話せば大地は常識あるとても好感の持てる好少年。

正装すればバシッと決め込む事ができるので、同じくチャラく見えるミキとはそこが大きく違う所だ。
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