甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
「それで? ユキちゃんはうちを辞めるの?」


早々に準備を済ませて旺志さんとともに芙蓉に行くと、わざわざ店に来てくれた蓉子ママが私をじっと見つめた。


「ええ、そうです。真白は俺が東京に連れて帰ります」

「あなたに訊いてないわ。私はユキちゃんに訊いてるの」


彼の淡々とした物言いにも動じないママが、再び私に視線を戻す。


「それで本当にいいのね? うちはいてくれていいのよ」

「いいえ、いいんです。もともとは勝手なことをした私が蒔いた種ですから」


これは罰だ。あのとき、なにも言わずに旺志さんのもとから去った私への……。
私は、彼が納得するまで贖うしかないのだ。


「そう。でも、もし困ったことがあれば、いつでも戻ってらっしゃい。ユキちゃんが望むなら、私はまたあなたを雇うから」

「ママ……」

「その必要はありません。真白がここへ戻ってくることはもうないですから」


嫌悪感を滲ませる旺志さんに、蓉子ママがふっと口元を緩める。


「あなたは色々とダメね。だから、ユキちゃんはあなたの前から姿を消したんじゃないかしら」


彼は眉をグッと寄せたけれど、程なくして怒りを落ち着けるように息を吐いた。
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