甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~

***

久しぶりに降り立った東京は、北海道よりも随分と暖かく感じた。
行き交う人の多さと喧騒は比べ物にならないほど多く、慌ただしく行き来する人の波を見て、東京に戻ってきてしまったんだ……と急激に不安に包まれた。


道中、旺志さんはほとんど話さなかった。
付き合っていたときに何度か彼が取ってくれたことがあるファーストクラスのシートは、まるで初めて乗ったようにどうにも落ち着かなくて。寝不足でクタクタなのに、一睡もできなかった。


旺志さんの家は、港区にあるタワーマンションの最上階。
一年以上ぶりに足を踏み入れた部屋は、インテリアはどこも変わっていないように見えるのに、以前よりもどこか殺風景に思えた。


けれど、窓から見える美しい景観も、彼の匂いに包まれているのも、以前と変わらない。
切なさと懐かしさで胸の奥が苦しくなって、息が上手くできなくなりそうだった。


「座って」


ソファに促され、戸惑いながらも腰を下ろす。
旺志さんはコーヒーをローテーブルに置き、自身も私の隣に座った。
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