甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
「だが、蓋を開けてみれば真白の居所も消息も掴めなくて、正直神室の力を使っても見つけられないなんておかしいと思ってた。恐らく、総帥が……祖父が手を回していたんだ。それなら、真白を見つけられなかったことにも納得がいく」


だから、確信があった。
神様の悪戯のような奇跡的な偶然がいくつも重ならない限り、私たちはきっともう二度と再会することがない……と。


それなのに、旺志さんと私は再び出会ってしまった。
消えてしまいたいほどの痛みを抱えたあの雪の夜、まるで奇跡のように。


「あのとき、俺があの場所にいたのは偶然だった。取引先の人間と、予定になかった店に繰り出したんだ」


あの日、彼は仕事で北海道に来ていた。
目的は、新しくオープンさせるホテルの視察。


その際に随分とお世話になった人が芙蓉がある地域の出身で、その縁でホテルから一時間ほどかかるあの地にまで足を伸ばし、仕事関係の人間と別れたところだったのだとか。
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