充電したい
一言発した状態で、彼は固まっている。
やはり、そうだったのだと落ち込んだものの。

「いや、恋人だと思っているが?」

「は?」

予想外の言葉に、今度は私が固まった。

「俺は優奈が好きだからキスしたいし、そういう関係になりたいと思ったんだが、優奈は違うのか?」

「え?」

違うのかって、そりゃ……好きですが?
だからこそセフレだって割り切れなくて、こんなにもやもや悩んでいたわけだし。
でも課長だって一言もそんなことを言ってくれなかったわけで。

「わるい、優奈ってもしかして、好きでもない男に抱かれる軽い女……だったのか?」

「そんなことあるかー!」

「ぐふっ!」

繰り出した拳は、華麗に課長の腹へ決まった。
悶絶している彼を、ふん!と鼻息荒く見下ろす。

「好きですよ?
好きですが?
これでいいんですよね、これで!」

「あー、なにを怒っているのか全くわからんが、これで機嫌を直せ」

不意打ち的に軽く課長がキスしてくる。
それに反射的に出した拳は、今度は避けられた。

「それがムカつくんじゃー!
だいたい、好きなら好きとちゃんと言わんかー!」

< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop