極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
けれど、乗り気じゃなかった芽衣に強制することはできず、俺たちの距離は思うように縮まらなかったのだ。


あの頃、自分がこんな気持ちを抱えていたなんて、芽衣には言えない。
嫉妬でいっぱいで、先に体だけでも堕ちてくれないだろうか……なんて狡猾なことを考えていたことは決して打ち明けられない。


ただ、彼女を深く愛している今だからこそ、後悔も大きい。


こんなに回り道をして、芽衣を傷つけてしまうくらいなら、最初から素直に想いを伝えていればよかった。
もし彼女を困らせたとしても、あんな形で傷つけるよりはマシだったはず。


もっとも、今だからこんな風に思えるだけかもしれないけれど……。


それでも、あの一夜と俺の不格好なプロポーズがなければ、今はなかったかもしれないのだ。
そう考えれば、悪かったことばかりではない。


ふたりの間でも今では笑い話になっているのだから、過去を悔やむよりも未来を見つめていようとも思っている――。

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