極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
「芽衣、抱きたい」
真っ直ぐに見つめられたまま、再び手首に唇が触れる。熱が灯った瞳を前に、私の心はあっさりと陥落してしまいそうになる。
必死に働かせる理性ではダメだと思っているのに、程なくして近づいてきた顔を避けることはできなくて……。今度は私の意思も乗せて、静かにキスを交わした。
優しく触れる唇から、樹くんの体温が伝わってくる。
ドキドキして、胸の奥が苦しくなって……。同時に込み上げてくる甘切なさを隠すように、無意識のうちに彼の手に指を絡めていた。
二度目に樹くん抱かれた夜から、私たちは折に触れて肌を重ねるようになった。
甘く誘うのは、いつも樹くんで。けれど、私も心の中では嬉しくて……。
建前だけで戸惑う思考や心とは裏腹に、甘美な蜜事に陶酔していた。
だからこそ、今は未来を想像するのが怖かった。
彼の腕に抱かれれば心も体も悦んでしまう私は、きっとすでに色々と手遅れで。いつか来る別れのときに、深く傷つく予感がする。
指輪なんてつけてしまったら、もう本当に後戻りできなくなる気がしていた。
だから、どうしても前向きには考えられなくて……。それなのに、今夜もお互いの熱が混じり合うほどの甘く激しい情事に縋りつくことしかできなかった――。
真っ直ぐに見つめられたまま、再び手首に唇が触れる。熱が灯った瞳を前に、私の心はあっさりと陥落してしまいそうになる。
必死に働かせる理性ではダメだと思っているのに、程なくして近づいてきた顔を避けることはできなくて……。今度は私の意思も乗せて、静かにキスを交わした。
優しく触れる唇から、樹くんの体温が伝わってくる。
ドキドキして、胸の奥が苦しくなって……。同時に込み上げてくる甘切なさを隠すように、無意識のうちに彼の手に指を絡めていた。
二度目に樹くん抱かれた夜から、私たちは折に触れて肌を重ねるようになった。
甘く誘うのは、いつも樹くんで。けれど、私も心の中では嬉しくて……。
建前だけで戸惑う思考や心とは裏腹に、甘美な蜜事に陶酔していた。
だからこそ、今は未来を想像するのが怖かった。
彼の腕に抱かれれば心も体も悦んでしまう私は、きっとすでに色々と手遅れで。いつか来る別れのときに、深く傷つく予感がする。
指輪なんてつけてしまったら、もう本当に後戻りできなくなる気がしていた。
だから、どうしても前向きには考えられなくて……。それなのに、今夜もお互いの熱が混じり合うほどの甘く激しい情事に縋りつくことしかできなかった――。