初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


『10年以上も付きまとってしまい、大変申し訳ありませんでした』

 違う、そうじゃない。
 全く、一体なんなんだ。
 いつもだったら、「ツンデレも可愛いですわ、ミッチー!」とか言いながら抱きついてくる場面じゃないか。

 何度も言うが、別に私はステファニーのことなどなんとも思っていない。全くもってなんとも思ってはいないが、今日は結婚休暇の初日だし、急な予定や行き先はない訳だし、いつもどおり抱きついてくる分にはまあ許してやってもいいかと思っていたんだ。

 それなのに、なんでお前は、扉越しに出てくる気配がないんだ!


 私はポケットからある指輪を取り出すと右手の中指に装着し、その右手でドアノブに手をかける。

 そしてそのまま、ガチャリとドアを開けた。

 この指輪は、一度だけ使える消費型の鍵開け用の魔道具で、私の弟が寄越したものだ。
 私の3番目の弟は、物作りが好きで、変な魔道具の試作品を作っては家族に使った感想を教えろと分け与えてくるのだ。
 「兄さん、悪用しないでくださいよ。鍵の紛失時に使うためのものです」とのことだったが、悪用はしていない。
 何しろ、私の邸宅の中の扉の鍵を開けただけだからな。
 うん、悪いことはしていないな。

「ステファニー」
「!?」

 急に開いた扉、現れた私に、扉に背を向けるようにして立っていたステファニーはびくりと肩を震わせる。
 どうやら、扉の文字を鏡文字にしないよう、背を向けて調整していたらしい。本当に、器用なことだな!?

 私は彼女に逃げる暇を与えないよう、左手を掴んでこちらを向かせる。


 すると、目をパンパンに腫らして、それでもなお美しい妻の姿が目に入った。


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